天火
てんぴ
名詞
標準
oven
文例 · 用例
朱樺の火は燃え出した、その明るくなることは、花が発くのと同じで、万象の色が真の瞬間に改まる、槍と穂高と、兀々した巉岩が、先ず浄い天火に洗われて容を改めた、自分の踏んでいる脚の下の石楠花や偃松や、白樺の稚いのが、今眠から醒めたというように朝風に身振いしてソヨソヨと顫った、天地皆新しい。
— 小島烏水 『奥常念岳の絶巓に立つ記』 青空文庫
一時に寒くなって――たださえ沸上り湧立ってる大阪が、あのまた境内に、おでん屋、てんぷら屋、煎豆屋、とかっかっぐらぐらと、煮立て、蒸立て、焼立てて、それが天火に曝されているんだからね――びっしょり汗になったのが、お庇ですっかり冷くなった。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫
人火天火 翌朝は心地|爽かに生れ更りたる如くにて、われはフエデリゴに對して心のうちの喜を語ることを得たり。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
彼ノ兵役忌避ヲ本旨トスル「クエーカー」宗ノ如キハ、小乘教ノ基督ニ於テスラ天國ノ戰ヲ指シ、地上ニ於テ尚我レ刄ヲ出サンガ爲ニ來レリト宜シテ終ニ羅馬ヲ天火ニ亡シタル一面ヲ有スルニ係ラズ、只其ノ殺ス勿レノ一項ヲ盾トシテ盲守スルニ過ギザル者。
— 北一輝 『日本改造法案大綱』 青空文庫
日本で天火、英国で火竜と言い、大きな隕石が飛び吼えるのだ。
— 田原藤太竜宮入りの話 『十二支考』 青空文庫
『熊野権現宝殿造功日記』新宮に竜落ちて焼けたとあるは前述天火なるべく、『今昔物語』二十四雷電中竜の金色の手を見て気絶した譚は、その人臆病抜群で、鋭い電光を見誤ったに相違ない。
— 田原藤太竜宮入りの話 『十二支考』 青空文庫
由良はおかしくなって笑わざるを得なかったが、花江の前で意味もなくげらげら笑うことも出来ないので、笑いにまぎらせて逆に花江に、あなたのお父さんの今日の卦は「天火同人」と出たのですが、これは協同にて事をなすによく、婚姻なるも不貞の惧れありというのだそうです。
— 横光利一 『馬車』 青空文庫
「しかし、天火同人というのは、上長の命に従って、目下の者には服従するなという意味が一番強いのだぞ。
— 横光利一 『馬車』 青空文庫
作例 · 標準
母は昔ながらの天火でパンを焼くのが得意だった。
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天火でじっくりと焼き上げたローストチキンは格別の味だ。
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この天火は温度調節が難しく、使いこなすには経験が必要だ。
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