切り株
きりかぶ
名詞
標準
tree stump
文例 · 用例
秋山は子供を六人拵えて、小林は三人拵えて、秋山は稍ずるく、小林は掘り出した切り株の如く「飛んでもねえ世の中」を渡っていた。
— 葉山嘉樹 『坑夫の子』 青空文庫
青年はかねてよくこの林の奥深く分け入り、切り株などに腰かけて日の光と風の力とに変わりゆく林の趣をめで楽しみたりければ、犬もまたこの林になずみけん、今日も先に立ちて走り入りぬ。
— 国木田独歩 『わかれ』 青空文庫
兄は道路からすこし入った疎林の樹の根に腰かけて今一つの樹の切り株を妹に指し示した。
— 岡本かの子 『兄妹』 青空文庫
お妃やお子さまたちは、それをご覧になると、すぐに泣き泣きそのあとを追いしたって、ささの切り株にお足を傷つけて血だらけにおなりになっても、痛さを忘れて、いっしょうけんめいにかけておいでになりました。
— 鈴木三重吉 『古事記物語』 青空文庫
藤野は他人の番の時には切り株に腰をかけたり草の上にねころんだりしていつものように考え込んでいるが、いよいよ自分の番になると急いで出て来て器械をのぞき、熱心に度盛りを読んでいるが、どういうものか時々とんでもない読み違いをする。
— 寺田寅彦 『花物語』 青空文庫
月がさえて風の静かなこのごろの秋の夜に、三毛と玉とは縁側の踏み台になっている木の切り株の上に並んで背中を丸くして行儀よくすわっている。
— 寺田寅彦 『ねずみと猫』 青空文庫
松は三本とも大きい切り株ばかり残ってるが、かねて覚えのある太い根に腰をおろして、二三本しきしまを吸うた。
— 伊藤左千夫 『落穂』 青空文庫
積善会の方はまた話が何とかつくだろう』ということで、白水は事務所へ、その節くれ立った木の切り株のような男と一緒に行ったんだ。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫