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恩愛

おんあい異読 おんない
名詞
1
標準
kindness and affection
文例 · 用例
注意せよ、彼は以前には驚くべく観念明晰な男であつたが、やがてその観念を自己の裡に位置せしめる底のもの、即ち自然――手を差伸べもしないが手を退きもしないもの、――が人間の裡にあつては恩愛的な作用をつとめる、その作用を、雑念或は意識及び其の惰性によつて忘失したのである。
中原中也 詩に関する話 青空文庫
殊にも藤野嚴九郎教授の海よりも深い恩愛に就いては、彼は後年、「藤野先生」といふ謝恩の念に滿ちあふれた名文を草してゐるほどで、「ただ先生の寫眞のみは今なほ僕の北京の寓居の東側の壁に、書卓に向つて掛けてある。
太宰治 「惜別」の意圖 青空文庫
或る語が「ん」で終る語の次に来て複合する時、その語の頭音が、ア行音ワ行音であるものはナ行音となる(「恩愛」オンナイ、「難有」ナンヌ、「仁和」ニンナ、「輪廻」リンネ、「因縁」インネン、「顔淵」ガンネン。
橋本進吉 国語音韻の変遷 青空文庫
恩愛ふかき親に苦を増させて、我れは同じき地上に彷遑ん身の、取あやまちても天上は叶ひがたし。
樋口一葉 軒もる月 青空文庫
忘れてかなうまじき人といわなければならない、そこでここに恩愛の契りもなければ義理もない、ほんの赤の他人であって、本来をいうと忘れてしまったところで人情をも義理をも欠かないで、しかもついに忘れてしまうことのできない人がある。
国木田独歩 忘れえぬ人々 青空文庫
利害の念もなければ越方行末の想もなく、恩愛の情もなく憎悪の悩もなく、失望もなく希望もなく、たゞ空然として眼を開き耳を開いて居る。
國木田独歩 空知川の岸辺 青空文庫
居候の書生に主人の先生が示す恩愛です。
国木田独歩 運命論者 青空文庫
畜生の人間的恩愛を描いたこの悲劇の不思議な世界の不思議な雰囲気も、やはり役者が人形であるがためにかえっていっそう濃厚になり現実的になるからおもしろいのである。
寺田寅彦 生ける人形 青空文庫