伏し目
ふしめ
名詞
標準
downcast look
文例 · 用例
「もう何ともございません」と伏し目になる。
— 鈴木三重吉 『千鳥』 青空文庫
縁がはで、おもちやの學校かばんを肩にさげた知春と出くわしたが、この子はびツくり顫へあがつた樣子をして、伏し目に下を向いた。
— 發展 『泡鳴五部作』 青空文庫
ところが、ふり返つて見る度毎に、かの女の伏し目がちにしてゐる顏が、街燈のあかりのさし加減で、眞ツ青に見えたり、眞ツ黒に見えたりする。
— 發展 『泡鳴五部作』 青空文庫
お葉は道具屋の軒下を伏し目に歩いてゐた。
— 素木しづ子 『三十三の死』 青空文庫
このネタには伏し目がちに笑いを押し殺し気味で臨むのが、聞く側のマナーというものだ。
— 富田倫生 『青空のリスタート』 青空文庫
だが何度目かの約束を破った時、自ら病んだ体験を、伏し目がちに細い声で語ってくれたオッサンはオッサンなりの純情は、その後のオレの両脇を支えてくれた。
— 富田倫生 『青空のリスタート』 青空文庫
中断された話の続きを持ち出しもしないで、黙ったまま少し伏し目になってひかえていた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
岡の差し出す紙幣の束を怒りに任せて畳の上にたたきつける倉地の威丈高な様子、少女にはあり得ないほどの冷静さで他人事のように二人の間のいきさつを伏し目ながらに見守る愛子の一種の毒々しい妖艶さ。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫