帷帳
いちょう
名詞
標準
curtain
文例 · 用例
行手の連峯は雨雲の底面で悉くその頂を切り取られて、山々はたゞ一面に藍灰色の帷帳を垂れたやうに見えてゐる。
— 寺田寅彦 『雨の上高地』 青空文庫
行手の連峰は雨雲の底面でことごとくその頂を切り取られて、山々はただ一面に藍灰色の帷帳を垂れたように見えている。
— 寺田寅彦 『雨の上高地』 青空文庫
僞善の帷帳、裂けし響か、雁かねの夜渡る聲か、枕に惑ふ。
— 石川啄木 『小説「墓場」に現れたる著者木下氏の思想と平民社一派の消息』 青空文庫
金糸でややこしい刺繍の紋章を綾取った緋色の帷帳がユラユラと動いたと思うとサッと左右に開いた。
— 夢野久作 『冥土行進曲』 青空文庫
ニュートンが一見捕捉しがたいような天体の運動も簡単な重力の方則によって整然たる系統の下に一括される事を知った時には、実際ヴォルテーアの謳ったように、神の声と共に渾沌は消え、闇の中に隠れた自然の奥底はその帷帳を開かれて、玲瓏たる天界が目前に現われたようなものであったろう。
— 寺田寅彦 『科学者と芸術家』 青空文庫
眼は物から物へとさまよい、どれ一つの上にもとどまらなかった、――ギリシアの画家の怪奇な作品にも、イタリアの最もよき時代の彫刻にも、未開のエジプトの巨大な彫物にも、部屋のあらゆる部分に懸っている立派な帷帳は、その源の見出さるべくもない、低い、憂鬱な音楽の顫音につれて震えていた。
— THE ASSIGNATION 『しめしあわせ』 青空文庫
その中央の特別に大きな、高い窓に近く、こればかりは本式らしい金モールと緋房を飾った紫緞子の寝台が置いてあって、女王様のお寝間じみた黄絹の帷帳が、やはり金モールと緋房ずくめの四角い天蓋から、滝の水のように流れ落ちている。
— 夢野久作 『白菊』 青空文庫
少女の寝息とも……牛乳の香気とも……萎れた花の吐息ともつかぬ、なつかしい、甘ったるい匂いが、又もホノボノと黄絹の帷帳の中から迷い出して来た。
— 夢野久作 『白菊』 青空文庫
作例 · 標準
戦国時代の陣営では、重要な会議が帷帳の中で極秘に行われた。
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舞台の開演前、重厚な帷帳がゆっくりと上がっていく。
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国王は帷帳の奥に座し、謁見に訪れた者たちを静かに見つめていた。
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