拐帯
かいたい
名詞動詞-サ変動詞-他動詞
標準
absconding with money
文例 · 用例
貴公目下のこの行為は、公の目から見ると拐帯じゃよ、詐偽じゃな。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
ヘレナ、大神ゼウス天鵝に化けて、スパルタ王の妻レーダに通じ生ませた娘で、神を妬ますばかりの美貌から、一生に二度|拐帯され、四人の妻となった。
— 猪に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
何しろ寒中のことで、一方では粘土が濡らしても/\も氷つてしまひさうだし、そちらはそちらでモデル君が何処へ雲がくれをしてしまつたのか皆目見当がつかないし、それこそ八方に手わけをして、まるで拐帯犯人を探すやうな騒ぎでしたわよ。
— 牧野信一 『心象風景(続篇)』 青空文庫
彼は今顧問弁護士をしていた会社の金を三万円|拐帯して、留守中の家族と乾分の手当や、のっぴきならない負債の始末をして、一旗揚げるつもりで上海へ走るところであった。
— 徳田秋声 『仮装人物』 青空文庫
そして、一九二八年三月十五日、三・一五として歴史的に知られている事件のころから共産党の組織に全国的にはいりはじめていた警察スパイが、最もあからさまに活躍して、様々の金銭問題、拐帯事件、男女問題を挑発し、共産党員を破廉恥な行為へ誘いこみながら次から次へと組織を売っては殺させていた年であった。
— 宮本百合子 『解説(『風知草』)』 青空文庫
それよりもこの四箇月の間、毎日毎日器械のように私の処へ郵便物を持って来てくれたあの金鵄勲章の忠平が、私へ送って来た二百円の金を拐帯して逃げ失せるような男とは、どうしても思えなかった。
— 夢野久作 『眼を開く』 青空文庫
その間に、牧太郎は父の金をすっかり拐帯しました。
— 甲賀三郎 『殺人迷路』 青空文庫
情婦殺しや拐帯犯人も人生の十字架にかかつてゐるのだ。
— 芥川龍之介 『闇中問答』 青空文庫