稟質
ひんしつ
名詞
標準
inborn nature
文例 · 用例
わたしは決して、書かれて居る事件や内容に好奇の眼を特に視張るといふのではない、作者の稟質に払ふ驚異と敬意に他ならぬといふのは、おそらく吹聴するまでもなく大方の御想像を得ることと安堵いたして居ります。
— 牧野信一 『浪曼的月評』 青空文庫
しかしながら、高山のみならず多くの青年は、彼等の稟質と才能とについての自覺を缺いたものばかりであつたであらうか?
— 島木健作 『第一義の道』 青空文庫
それぞれの賞に関係する選者があることは、その選者である有力な作家と選されようと欲する文学志望者との間に、それぞれの作家の稟質を反映して様々の微妙な交渉をも生じている。
— 宮本百合子 『今日の文学の展望』 青空文庫
長塚節は、写生文派、写実派の中でも、実に手堅い一方の作家で「土」と略同じ頃書かれている虚子の有名な「風流懺法」等と比べると農村生活に深い根をもつ節独特の稟質がうかがわれるのである。
— 宮本百合子 『「土」と当時の写実文学』 青空文庫
あるままを素直に感受する敏感さと、驚きもよろこびも疑問をも活々と感じ得る慧智と、人間の文化の今日までの成果に立っての強靭なる判断力、推理力が、益々作家に必要な稟質となって来ている。
— 宮本百合子 『文学の流れ』 青空文庫
プロレタリア文学における大衆性の理解、人間性というものについての理解、民族の文学に対する理解、それらの重要な諸点は、これまでのプロレタリア文学理論の中で勿論基本的に健全にとりあげられてはいたが、個々の作家の生活感情の中へまで、新時代の作家的稟質となってとけこんでいるとはいえない実際である。
— 宮本百合子 『プロ文学の中間報告』 青空文庫
そもそも、作家としての、横光氏は、その文学的出発の当初から、現実の或る面に対しては敏感であったが、その敏感さの稟質は、一箇の芸術家として現実を全面から丸彫にしてやろうという情熱において現れず、常に、現実の一面にぶつかってそこから撥ね返る曲線を自意識の裡で強調する傾向で現われた。
— ――横光氏の「厨房日記」について―― 『「迷いの末は」』 青空文庫
藤村における「詠嘆的、慷慨的」なものを詩人的稟質と貴方は書いておられますが、どうかしら。
— 宮本百合子 『「夜明け前」についての私信』 青空文庫
作例 · 標準
人間の持つ学習能力という稟質は、進化の過程で培われてきた。
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その科学者は、生物の持つ複雑な稟質を解明するために、長年研究を続けている。
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子供の性格形成には、遺伝による稟質と、育った環境の両方が影響します。
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