懐古趣味
かいこしゅみ
名詞名詞-の形容詞
標準
nostalgia for the good old days
文例 · 用例
芭蕉における木曾義仲の崇拝や、戦国時代への特殊な歴史的懐古趣味を、一方蕪村の平安朝懐古趣味と比較する時、両者の異なる詩人的気質が、おのずから分明して来るであろう。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
古都の床しい風流であり、ここにも蕪村の平安朝懐古趣味が、ほのかに郷愁の影を曳いてる。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
いつそ、懐古趣味を発揮させようとするならば、うちかけを着せて張店を出すがよい。
— 小酒井不木 『名古屋スケツチ』 青空文庫
ただ私の懐古趣味だけは人並なものがあるやうである。
— 島木健作 『忘れえぬ風景』 青空文庫
この数は、一種の懐古趣味を捨て去る時になお少数となる。
— 豊島与志雄 『神話と青春との復活』 青空文庫
然し、人各々好みあり、趣味はあげつらふべきものではないから、懐古趣味も結構であるが、荷風の如くに亡びたるものを良しとし新たなるものを、亡びたるものに似ざるが故に悪しといふのは、根本的に作家精神の欠如を物語る理由でもある。
— ――『問はず語り』を中心として―― 『通俗作家 荷風』 青空文庫
荷風においては懐古趣味の態度自体が反文学的であり、彼には新しき真実などは問題ではなく、失はれたる過去をなつかしむといふだけの、そして新しきものが過去に似ないことによつて良くないといふだけの、最も通俗安直な懐古家にすぎないのである。
— ――『問はず語り』を中心として―― 『通俗作家 荷風』 青空文庫
懐古趣味はありません」 ハガアスさんは熱心に考えてからいった。
— 久生十蘭 『だいこん』 青空文庫