芬
ふん
名詞頻度ランク #9671 · 青空 79 例
標準
Finland
文例 · 用例
二ノ池の方に廻る、池には石が座榻のように不規則に、水面に点じている、岸には淡紅の石楠花が水に匂う、蛇紋が掻き破られて、また岩魚が飛ぶ、石楠花の雫を吸っている魚だから、腸まで芳芬に染まっていないかとおもう。
— 小島烏水 『梓川の上流』 青空文庫
しかしそれが、地方雜誌のスレからした投書家などにありがちな、野卑な厭味とキザとで芬々たる臭氣を放つてゐた。
— 萩原朔太郎 『室生犀星に與ふ』 青空文庫
その身動きに、鼬の香を芬とさせて、ひょこひょこと行く足取が蜘蛛の巣を渡るようで、大天窓の頸窪に、附木ほどな腰板が、ちょこなんと見えたのを憶起す。
— 泉鏡花 『国貞えがく』 青空文庫
黒表紙には綾があって、艶があって、真黒な胡蝶の天鵝絨の羽のように美しく……一枚開くと、きらきらと字が光って、細流のように動いて、何がなしに、言いようのない強い薫が芬として、目と口に浸込んで、中に描いた器械の図などは、ずッしり鉄の楯のように洋燈の前に顕れ出でて、絵の硝子が燐と光った。
— 泉鏡花 『国貞えがく』 青空文庫
とやっぱり芬とする懐中の物理書が、その途端に、松葉の燻る臭気がし出した。
— 泉鏡花 『国貞えがく』 青空文庫
ははは」 口気|酒芬を吐きて面をも向くべからず、女は悄然として横に背けり。
— 泉鏡花 『夜行巡査』 青空文庫
天晴れ仏果を得て人中の芬陀利華と咲くことを望んだ身が、畜生も蹄を避ける醜草と変るのだ。
— 岡本かの子 『阿難と呪術師の娘』 青空文庫
蚊帳が顔へ搦んだのが、芬と鼻をついた水の香。
— 泉鏡花 『悪獣篇』 青空文庫
標準
fragrant