愛憎
あいぞう
名詞頻度ランク #34141 · 青空 213 例
標準
love and hate
文例 · 用例
喜怒愛憎の高潮に伴なう涙は理知や道徳などとは関係の薄い情緒的のものであるが、哀別離苦の焦心の涙にはよほど本能的なものがあって、純粋な肉体の苦痛によるものとかなりまで相通ずるものがありそうに思われる。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫
わが生涯の情熱すべてこの一巻に収め得たぞ、と、ほっと溜息もらすまも無し、罰だ、罰だ、神の罰か、市民の罰か、困難不運、愛憎転変、かの黄金の冠を誰知るまいとこっそりかぶって鏡にむかい、にっとひとりで笑っただけの罪、けれども神はゆるさなかった。
— ――(生れて、すみません。) 『二十世紀旗手』 青空文庫
園に対しては舐めるような溺愛を示すのに引きかえて、兄に対してはことごとに気持を悪るくしているらしい愛憎の烈しい母が、二人の中に挾まって、二人の間をかえってかき乱していた。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
愛憎を盡かした人々の中に、彼れの兄だけは何處までも彼れの決心を飜へさうとした。
— 有島武郎 『實驗室』 青空文庫
妾はもうお前さんに愛憎が尽きたから此家を出て行きます。
— 夢野久作 『金剛石』 青空文庫
物事に対する愛憎は多い方である。
— 夏目漱石氏−収入−衣食住−娯楽−趣味−愛憎−日常生活−執筆の前後 『文士の生活』 青空文庫
現実に住み飽きてしまったり、現実の粗暴野卑に愛憎をつかしたり、あまりに精神の肌質のこまかいため、現実から追い捲くられたりした生きものであって、死ぬには、まだ生命力があり過ぎる。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
伯母はむかし幼年で孤児となった甥の檜垣の主人を引取り少年の頃まで、自分の子供の中に加えて育てたのであったが、以後檜垣の主人は家を飛出し、外国までも浮浪い歩るいて音信不通であったこの甥に対し、何の愛憎も消え失せているといった。
— 岡本かの子 『食魔』 青空文庫
作例 · 標準
例句