銀粉
ぎんぷん
名詞
標準
silver powder
文例 · 用例
「青んぼ」という名前も、三男がひとりで考案して得意らしく、表紙も、その三男が画いたのですけれども、シュウル式の出鱈目のもので、銀粉をやたらに使用した、わからない絵でありました。
— 太宰治 『兄たち』 青空文庫
水上を遠く眺めると、一直線に流れてくる水道の末は銀粉を撒いたような一種の陰影のうちに消え、間近くなるにつれてぎらぎら輝いて矢のごとく走ってくる。
— 国木田独歩 『武蔵野』 青空文庫
――もお―― 濡れた鼻息は、陽炎に蒸されて、長閑に銀粉を刷いた。
— 泉鏡花 『若菜のうち』 青空文庫
その大切な乳をかくす古手拭は、膚に合った綺麗好きで、腰のも一所に、ただ洗いただ洗いするんですから、油旱の炎熱で、銀粉のようににじむ汗に、ちらちらと紗のように靡きました。
— 泉鏡花 『木の子説法』 青空文庫
細かいその仕事は金粉や銀粉をつかってする仕事だから、たった一つの電燈の光でも四畳半の穢い部屋の中では随分美しく、立派に光りさえもするが、何にしろそういう仕事で食って行かなければならない。
— 宮本百合子 『百銭』 青空文庫
……それから金銀円方として、金粉、銀粉、鹿頭、白花蛇、烏蛇、樟脳、虎胆の七種を、丸薬として服ませもするが、これとて対症的療法に過ぎない。
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
楓の林は荘重に陰欝に黝み、月光を浴びてそそり立つた梢だけが細かい銀粉でも振りかけられたやうに見えてゐる。
— VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI 『ディカーニカ近郷夜話 前篇』 青空文庫
甘草に、肉桂粉に薄荷といったようなものを二寸四方位の板に練り固めて、縦横十文字に切り型を入れて金粉や銀粉がタタキ付けてある。
— 夢野久作 『爆弾太平記』 青空文庫