静穏
せいおん
名詞形容動詞
標準
tranquility
文例 · 用例
ボーイの昼食をすゝむる声耳に入りたれどもとより起き上がる事さえ出来ざる吾の渋茶一杯すゝる気もなく黙って読み続くるも実はこのようなる静穏の海上に一杯の食さえ叶わぬと思われん事の口惜しければなり。
— 寺田寅彦 『東上記』 青空文庫
自分の病気と蒸気ストーブはなんの関係もないが、しかし自分の病気もなんだか同じような順序で前兆、破裂、静穏とこの三つの相を週期的に繰り返しているような気がする。
— 寺田寅彦 『病院の夜明けの物音』 青空文庫
不安の圧迫がとれて貴重な静穏に移る瞬間である。
— 寺田寅彦 『病院の夜明けの物音』 青空文庫
あらゆる暗黒の影が天地を離れて万象が一度に美しい光に照らされると共に、長く望んで得られなかった静穏の天国が来るのである。
— 寺田寅彦 『病院の夜明けの物音』 青空文庫
たとえこの静穏がもしや「死」の静穏であっても、あるいはむしろそうであったらこの美しさは数倍も、もっともっと美しいものではあるまいか。
— 寺田寅彦 『病院の夜明けの物音』 青空文庫
だが、私は何かその静穏な海の状態に陰険な打ち潜んだ気配を感じて、やや憎みさえ覚えた。
— 岡本かの子 『鶴は病みき』 青空文庫
庭には梧桐を動かしてそよそよと渡る風が、ごくごく静穏な合の手を弾いている。
— 幸田露伴 『太郎坊』 青空文庫
ところがまた、ことしの十一月二十六日の午後、京都大学のN博士と連れ立って上野の清水堂の近くを歩いていたら、堂のわきにあるあの大木の銀杏が、突然にいっせいの落葉を始めて、約一分ぐらいの間、たくさんの葉をふり落とした後に再び静穏に復した。
— 寺田寅彦 『藤の実』 青空文庫
作例 · 標準
朝の湖はまるで鏡のように静穏で、周囲の山々を鮮やかに映し出していた。
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「おっ、今日の海は静穏だな。これなら船酔いの心配もなさそうだ」
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嵐が去った後の町には、嘘のような静穏な時間が流れていた。
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