胡散
うさん
形容動詞名詞
標準
suspicious
文例 · 用例
見ず識らずの女が夜ちゅうに人の店へあがり込もうというのは、なんだか胡散らしいとも思ったが、お徳はもう三十を越している。
— むらさき鯉 『半七捕物帳』 青空文庫
一匹の犬が豊吉の立っているすぐそばの、寒竹の生垣の間から突然現われて豊吉を見て胡散そうに耳を立てたが、たちまち垣の内で口笛が一声二声高く響くや犬はまた駆け込んでしまった。
— 国木田独歩 『河霧』 青空文庫
この目準があるものだから、いくら老僧たちが嘲笑的な態度を執ろうとも最後には彼等の胡散の誘惑から免れて初一念が求むる方向へと一人とぼとぼ思念を探り入れて行った。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫
」となお胡散らしく薄目で見上げる。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
ずいぶん遣りかねますまいよ」「その晩橋場の交番の前を怪しい風体のやつが通ったので、巡査が咎めるとこそこそ遁げ出したから、こいつ胡散だと引っ捉えて見ると、着ている浴衣の片袖がない」 談ここに到りて、甲と乙とは、思わず同音に嗟きぬ。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
近頃は爺婆の方が横着で、嫁をいじめる口叱言を、お念仏で句読を切ったり、膚脱で鰻の串を横銜えで題目を唱えたり、……昔からもそういうのもなかったんじゃないが、まだまだ胡散ながら、地獄極楽が、いくらか念頭にあるうちは始末がよかったのです。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
そして胡散臭そうに女を見乍ら誂を聞く給仕男へ横柄に、――ちょいと。
— 岡本かの子 『ドーヴィル物語』 青空文庫
『書物の出現』を書いたアンリ=ジャン・マルタンは、「買い手が印刷術という新しい方法に胡散臭さを感じていた」であるとか「写字生たちに気づかれてその神経を逆なで」しないため、といった諸説を否定してこう結論づけています。
— 富田倫生 『本の未来』 青空文庫
作例 · 標準
例句