諧謔
かいぎゃく
名詞
標準
joke
文例 · 用例
何よりもその證據は、子供たちの悦ぶ映畫が、常に忍術使ひの出るチヤンバラ劇と、奇々怪々の夢に充ちた漫畫映畫と、ポンチ的諧謔のチヤツプリンとに限られてゐる。
— 萩原朔太郎 『童話と教育について』 青空文庫
稀に彼の口から洩れる辛辣な諧謔は明らかにそれを語るものである。
— 寺田寅彦 『アインシュタイン』 青空文庫
―― その重さこそ常々私が尋ねあぐんでゐたもので、疑ひもなくこの重さは總ての善いもの總ての美しいものを重量に換算して來た重さであるとか、思ひあがつた諧謔心からそんな馬鹿げたことを考えて見たり――何がさて私は幸福だつたのだ。
— 梶井基次郎 『檸檬』 青空文庫
―― その重さこそ常づね尋ねあぐんでいたもので、疑いもなくこの重さはすべての善いものすべての美しいものを重量に換算して来た重さであるとか、思いあがった諧謔心からそんな馬鹿げたことを考えてみたり――なにがさて私は幸福だったのだ。
— 梶井基次郎 『檸檬』 青空文庫
もっとも正当なソナタやシンフォニーのように四楽章から成る場合だと、第一章が通例早いテンポのソナタ形式のもの、第二章がいわゆるスロームーヴメントで表情豊かな唱歌形式のもの、第三章が軽快な舞踏曲のようなもので、往々|諧謔的なスケルツォが使われる。
— 寺田寅彦 『連句雑俎』 青空文庫
誹諧また俳諧は滑稽諧謔の意味だと言われていても、その滑稽が何物であるかがなかなかわかりにくい。
— 寺田寅彦 『俳諧の本質的概論』 青空文庫
このようにして和歌の優美幽玄も誹諧の滑稽諧謔も一つの真実の中に合流してそこに始めて誹諧の真義が明らかにされたのではないかと思われる。
— 寺田寅彦 『俳諧の本質的概論』 青空文庫
さらにまた諧謔にあふれたもの、あるいは苦悩にみちたものもあり、人生の一断面のスケッチもある。
— BILLEDBOG UDEN BILLEDER 『絵のない絵本』 青空文庫
作例 · 標準
夏目漱石の初期作品には、江戸っ子気質の軽妙な語り口と、文明開化の波に翻弄される人々への冷ややかな諧謔が同居している。
「君のその鋭すぎる批判も、もう少し諧謔の精神を持って語れば、無用に相手を怒らせずに済むはずだ」と、年長者は静かに諭した。
アイルランド出身の劇作家オスカー・ワイルドの戯曲は、機知に富んだ台詞回しと、当時のイギリス上流階級の虚飾を突く鮮やかな諧謔に満ちている。
絶望的な戦況下にあっても、彼は常に諧謔を交えた余裕のある態度を崩さず、兵士たちの凍りついた心をわずかに溶かした。