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余燼

よじん
名詞
1
標準
smouldering fire
文例 · 用例
そしてこれに新しき衝動を与えるものは往々にして古き考えの余燼から産れ出るのである。
寺田寅彦 科学上の骨董趣味と温故知新 青空文庫
天明|蕪村の時代に一度は燃え上がった余燼も到底|元禄の光炎に比すべくはなかった。
寺田寅彦 俳諧の本質的概論 青空文庫
空の肌質はいつの間にか夕日の余燼を冷まして磨いた銅鉄色に冴えかかっていた。
岡本かの子 金魚撩乱 青空文庫
二三年まえ、罪なきものを殴り、蹴ちらかして、馬の如く巷を走り狂い、いまもなお、ときたま、余燼ばくはつして、とりかえしのつかぬことをしてしまうのである。
――当りまえのことを当りまえに語る。 もの思う葦 青空文庫
せめて、冬の陣のままで四月か半年も頑張ったならば、当時は戦国の余燼がやっと収まったばかりであるから、関ヶ原の浪人も多く、天下にどんな異変が生じたか分らないと思う。
菊池寛 大阪夏之陣 青空文庫
もし水気が尽き湿潤の作用が乏しくなれば水は既に涸渇しているのであり、火気が尽き乾熱の威力作用が衰耗すれば、火も既に余燼となっているのであって、水火の本体が無ければ湿乾の気もまた無いのである。
幸田露伴 努力論(現代訳) 青空文庫
その感傷性は老い先の短かい人間が、感情の余燼としてやつとの思ひで取り戻すことができた、感情の小さな興奮なのである。
美術論・画論 小熊秀雄全集−19− 青空文庫
其処此処の熱灰の中からは折々余燼がチラ/\と焔を上げて、彼地此所に眼を配る消火夫の水に濡れると忽ち白い煙を渦立たして噴き出した。
内田魯庵 灰燼十万巻(丸善炎上の記) 青空文庫