穂先
ほさき
名詞
標準
tip of an ear (of wheat, etc.)
文例 · 用例
空よく晴れて朝風やゝ肌寒く露の小萩のみだれを吹いて葉鶏頭の色鮮やかに穂先おおかた黄ばみたる田面を見渡す。
— 寺田寅彦 『東上記』 青空文庫
雪の下からは蒼黯い偃松が、杉菜ほどに小さく見えて、黄花石楠花は、白花石楠花に交って、その間にちらほらしている、一団の霧が槍へ吹っ懸けて、白い烟をパッと立てるので、一時は姿を没したが、又穂先だけ鋭く突き出す。
— 小島烏水 『槍ヶ岳第三回登山』 青空文庫
やっと槍ヶ岳の頂、といっても槍の穂先からは、まだ蛭巻ぐらいの位置に当る、平ッたい鞍状地に到着した、槍から無残に崩壊した岩は、洪水のように汎濫している、そうしてこれが巨大なる槍ヶ岳を、目の上に高く聳えしむるために、払われた犠牲であるかと思うと、私は天才の惨酷に戦慄するのである。
— 小島烏水 『槍ヶ岳第三回登山』 青空文庫
竿も二|間ばかりしかなくて、誰かのアガリ竿を貰いか何ぞしたのであろうか、穂先が穂先になってない、けだし頭が三、四寸折れて失せて終ったものである。
— 幸田露伴 『蘆声』 青空文庫
そうしてその筆の穂を五倍子箱の中の五倍子の粉の中に突っ込んで粉を充分に含ませておいて口中に運ぶ、そうして筆の穂先を右へ左へ毎秒一往復ぐらいの週期で動かしながらまんべんなく歯列の前面を摩擦するのである。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫
手前の槍は雑兵の血で汚れておりますれば……」 といううちに、その武士は、かたわらの湖に槍の穂先を浸して、ザブザブと洗い始めた。
— 夢野久作 『「生活」+「戦争」+「競技」÷0=能』 青空文庫
もはや、槍の穂先も見えぬげに御座れば、残念ながらこれにてお別れ申そう」「いや、某もさように存じておったところ……」「さらば」「さらば」 というのでドロンゲームになったが、後にこの二人は某侯の御前で出会して、本名を名乗り合って莫逆の友となった……というような話が「常山紀談」に載っている。
— 夢野久作 『「生活」+「戦争」+「競技」÷0=能』 青空文庫
けれども其心配はたゞ普通の親が其子の上を憂るのとは異って居たのです、それで父が『折角男に生れたのなら男らしくなれ、女のような男は育て甲斐がない』と愚痴めいた小言を言う、其言葉の中にも僕の怪しい運命の穂先が見えて居たのですが、少年の僕には未だ気が着きませんでした。
— 国木田独歩 『運命論者』 青空文庫
作例 · 標準
秋の訪れと共に黄金色に色づいた稲の穂先が、心地よい秋風に吹かれて波のように揺れている。
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小麦の穂先をそっと指でなぞると、硬い芒がチクチクとした感触を掌に残した。
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雀たちが収穫間近の田んぼに集まり、器用に穂先をつついて実を食べようとしている。
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標準
tip (of a brush, spear, etc.)
作例 · 標準
習字の筆を洗った後は、穂先を指で整えてから吊るして乾かさないと、次に使う時に割れてしまう。
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槍の穂先が鋭く光り、戦場での緊張感を今に伝える歴史博物館の展示品に見入ってしまった。
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細かい模様を描くために、一番細い面相筆の穂先に少しだけ絵の具をつけて慎重に筆を動かす。
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