帰洛
きらく
名詞動詞-サ変動詞-自動詞
標準
returning to a capital city (esp. Kyoto)
文例 · 用例
――一年、比野大納言、まだお年若で、京都|御名代として、日光の社参に下られたを饗応して、帰洛を品川へ送るのに、資治卿の装束が、藤色なる水干の裾を曳き、群鵆を白く染出だせる浮紋で、風折烏帽子に紫の懸緒を着けたに負けない気で、此大島守は、紺染の鎧直垂の下に、白き菊綴なして、上には紫の陣羽織。
— 泉鏡花 『妖魔の辻占』 青空文庫
いずれはそうなることと源氏も期していたのではあるが、無常の人生であるから、それがまたどんな変わったことになるかもしれないと不安がないでもなかったのに、にわかな宣旨で帰洛のことの決まったのはうれしいことではあったが、明石の浦を捨てて出ねばならぬことは相当に源氏を苦しませた。
— 明石 『源氏物語』 青空文庫
住吉の神へも無事に帰洛の日の来た報告をして、幾つかの願を実行しようと思う意志のあることも使いに言わせた。
— 明石 『源氏物語』 青空文庫
帰洛の望みを永久に断たれながら暮していくことは、彼には堪えられなかった。
— 菊池寛 『俊寛』 青空文庫
彼は、その夜、夜を徹して俊寛に帰洛を勧めた。
— 菊池寛 『俊寛』 青空文庫
俊寛は、平家一門が、滅んだときいたときには、さすがに会心の微笑をもらし、妻の松の前や鶴の前が身まかったということをきいたときには、涙を流したが、帰洛の勧めには、最初から首を横に振った。
— 菊池寛 『俊寛』 青空文庫
有王は、主の心に物怪が憑いたものとして、帰洛の勧めを思い切るよりほかはなかった。
— 菊池寛 『俊寛』 青空文庫
俊寛の帰洛を妨げるものは彼の妻子であると思うと、有王はその木像までが忌わしいものに思われたが、主の贈物をむげにしりぞけるわけにもいかないので、船に乗ってから捨てるつもりで、何気なくそれを受取った。
— 菊池寛 『俊寛』 青空文庫