創痕
そうこん
名詞
標準
scar
文例 · 用例
関東地震や北伊豆地震のときに崩れ損じたらしい創痕が到る処の山腹に今でもまだ生ま生ましく残っていて何となく痛々しい。
— 寺田寅彦 『箱根熱海バス紀行』 青空文庫
ただ額の真中に斜めに深く切り込んだような大きな創痕が、見るも恐ろしく気味悪く引き釣っていた。
— 寺田寅彦 『小さな出来事』 青空文庫
探偵の身にしては、賞牌ともいいつべき名誉の創痕なれど、衆に知らるる目標となりて、職務上不便を感ずること尠からざる由を喞てども、巧なる化粧にて塗抹すを常とせり。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
云わば恋の創痕の痂が時節到来して脱れたのだ。
— 幸田露伴 『太郎坊』 青空文庫
どれも黒くて、古風で、古ぼけていて、ひどく指垢のついた書物がめちゃくちゃに積み重ねてあり、名前の頭文字や、略さないで書いた姓名や、怪異な形の絵や、その他さまざまな小刀で彫りつけたものなどの、創痕をつけられているので、かつては多少かたちを残していた原形の少しさえすっかり失くなってしまっている。
— WILLIAM WILSON 『ウィリアム・ウィルスン』 青空文庫
多くの樹木が女の顔立と同じように、老齢の重みに圧されると、唯もう醜くなるのみなのに較べて、松の樹は男の容貌と同じように、歳とともに鍛錬せられゆく性格の重みを加え、環境との争闘から生じた痛ましい創痕を、雄々しくもむき出しに見せつけている。
— 薄田泣菫 『艸木虫魚』 青空文庫
「D坂の殺人事件」においては二人の女の背中に無数の創痕があるという事実から、殺人事件が変態性欲に関係していることを見抜いたり、棒縞の浴衣を甲は黒衣と断定し、乙は白衣と断定したことに対して、人間の感覚、記憶のあてにならぬことを知って、この「証言」を無視したりしている。
— ――特に江戸川乱歩氏に就て―― 『日本の近代的探偵小説』 青空文庫
絆創膏ははがして、下に創痕やあざがないかを調べることが肝要なり。
— 海野十三 『江戸推理川柳抄』 青空文庫
作例 · 標準
幼い頃の怪我の創痕が、今でも腕に残っている。
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彼の顔には、激しい戦いを生き抜いた証である創痕があった。
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その出来事は、彼女の心に深い創痕を残した。
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