胸襟
きょうきん
名詞
標準
one's heart
文例 · 用例
げにもつれ易い感傷の綱の海を漕ぎゆくためには、否応なきストイシスムを身に付けて、胸襟打開いて事に当る平明さを、諦らめる覚悟が要ります。
— 中原中也 『我邦感傷主義寸感』 青空文庫
腰帯 衣服を、はおれる後、裾の長きを引上げて一幅の縮緬にて腰を緊め、然る後に衣紋を直し、胸襟を整ふ、この時用ゐるを腰帯といふ、勿論外形にあらわれざる処、色は紅白、人の好に因る、価値の低きはめりんすもあり。
— 泉鏡花 『当世女装一斑』 青空文庫
膚が衣を消すばかり、其の浴衣の青いのにも、胸襟のほのめく色はうつろはぬ、然も湯上りかと思ふ温さを全身に漲らして、髮の艶さへ滴るばかり濡々として、其がそよいで、硝子窓の風に額に絡はる、汗ばんでさへ居たらしい。
— 泉鏡太郎 『人魚の祠』 青空文庫
巣鴨辺に弥勒の出世を待っている、真宗大学の寄宿舎に似て、余り世帯気がありそうもない処は、大に胸襟を開いてしかるべく、勝手に見て取った。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
凉風一過、亦少しく胸襟を醫するに足るものなしとせず。
— 長塚節 『草津行』 青空文庫
老幼賢愚の隔意なく胸襟を開いて平々凡々に茶を啜り、談笑して御座る。
— 夢野久作 『近世快人伝』 青空文庫
互に胸襟を開きて、謂はゆる一見舊知の如し。
— 大町桂月 『月の隅田川』 青空文庫
この三年の間、同じ窓に學びし友の、一半は地方に別れ行き、都に殘れるものも、相逢うて胸襟を開くこと稀なれば、暇ある時を擇びて、二日三日、共に江湖の外に優遊して、積もれる思ひを吐きつくさばやとて、羽衣、烏山二子と共に、かれこれ其の遊ぶ處を議したる末、遂にわれ東道の主人となりて、房州にゆくことに決す。
— 大町桂月 『房州紀行』 青空文庫
作例 · 標準
彼とは十年来の付き合いだが、実はいまだに胸襟に触れるような深い話をしたことがない。
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旅先で偶然相席になった見知らぬ老人と、酒を酌み交わすうちに胸襟を語り合う仲になっていた。
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政治家として、国民一人ひとりの胸襟に深く届くような、誠実な言葉で語りかける必要がある。
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