濁世
だくせ異読 だくせい・じょくせ
名詞
標準
this corrupt or degenerate world
文例 · 用例
血も沸かば沸け、炎も燃へばもへよ」とて、微笑を含みて読みもてゆく、心は大滝にあたりて濁世の垢を流さんとせし、某の上人がためしにも同じく、恋人が涙の文字は幾筋の滝のほとばしりにも似て、気や失なはん、心弱き女子ならば。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
「この穢土濁世にこんな人達が、こんな人間生活が、そして、こんな地域があつたのか?
— 南部修太郎 『處女作の思ひ出』 青空文庫
彼は天災地變に苛まれる人生の焦熱地獄に堪へられなくなつて、この假現の濁世穢土から遁れようとしたのです。
— 南部修太郎 『猫又先生』 青空文庫
なほ天堂に於ける天女にして、もしその面貌醜ならむか、濁世の悪魔が花顔雪膚に化したるものに、嗜好の及ばざるや、甚だ遠し。
— 泉鏡花 『醜婦を呵す』 青空文庫
濁世のあるゆる侵害からこの人を守る楯となること。
— 中島敦 『弟子』 青空文庫
後世、仏者曲説保護せんとするも、その弁を得ず、わずかにこれこの菩薩濁世に生まれて天子すら悪をなすべからざるの理を実証明示せるなりと言う。
— 南方熊楠 『神社合祀に関する意見』 青空文庫
されど涙や笑声の惑を脱し、万象の流転の相を忘ぜむと、心の渇いと切に、現身の世を赦しえず、はた咀ひえぬ観念の眼放ちて、幽遠の大歓楽を念じなば、来れ、此地の天日にこよなき法の言葉あり、親み難き炎上の無間に沈め、なが思、かくての後は、濁世の都をさして行くもよし、物の七たび涅槃に浸りて澄みし心もて。
— 上田敏 『海潮音』 青空文庫
火宅 エミイル・ヴェルハアレン嗚呼、爛壊せる黄金の毒に中りし大都会、石は叫び烟舞ひのぼり、驕慢の円葢よ、塔よ、直立の石柱よ、虚空は震ひ、労役のたぎち沸くを、好むや、汝、この大畏怖を、叫喚を、あはれ旅人、悲みて夢うつら離りて行くか、濁世を、つゝむ火焔の帯の停車場。
— 上田敏 『海潮音』 青空文庫
作例 · 標準
濁世に身を置きながらも、彼は清らかな心を失わなかった。
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欲にまみれたこの濁世で、誰を信じればいいのか分からなくなる。
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彼は濁世の喧騒を離れ、山奥で静かに暮らすことを選んだ。
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