打ち消し
うちけし
名詞頻度ランク #36162 · 青空 10 例
標準
negation
文例 · 用例
またある時は「あなた、かくしているでしょう、きっとそうだ、あなたそうでしょう」とうるさく聞きながら、余の顔色を読もうとする、その祈るような気づかわしげな目づかいを見るのが苦しいから「ばかな、そんな事はないと言ったらない」と邪慳な返事で打ち消してやる。
— 寺田寅彦 『どんぐり』 青空文庫
さうかと云ってあ〔ゝ〕いふ眼付き、厭な眼付は打ち消し得ない。
— 宮沢賢治 『疑獄元兇』 青空文庫
秘かな心の下で最後の「死」の怖れに触れては、それを打ち消していた。
— 梶井基次郎 『不幸』 青空文庫
「こいつを持って行ったかな」と、半七は少し迷ったように蛇のゆくえを見つめていたが、「いや、そうじゃあるまい」と、又すぐ打ち消した。
— お化け師匠 『半七捕物帳』 青空文庫
自分が慇懃にあいさつする言葉を打ち消して、『いやそうあらたまれては困る。
— 国木田独歩 『まぼろし』 青空文庫
まったく、この世の中は、白いのです」 と、さきの二つの小鳥の言葉を打ち消しました。
— 岡本かの子 『トシオの見たもの』 青空文庫
「いや、信州の諏訪は十月じゃあるめえ」と、半七は打ち消した。
— 十五夜御用心 『半七捕物帳』 青空文庫
「――まさか」 と、打ち消してみたものの、舞台の上の冴子を見ている自分の眼が、昨日の単なる好奇的な眼と違った燃え方をしていることは、もう否定できなかった。
— 織田作之助 『夜の構図』 青空文庫