移り香
うつりが
名詞
標準
lingering scent
文例 · 用例
」 と云った、大島の知らず、絣の羽織の袖を、居寄って振袖の紫に敷いて熟と瞻たのであったが、「せめて、移り香を。
— ――(前題――楊弓) 『ピストルの使い方』 青空文庫
それ、と二つ三つほこりをたゝいたが、まだ干しも何うもしない、美しい夫人の移り香をそのまゝ、右の座布團をすゝめたのである。
— 泉鏡太郎 『火の用心の事』 青空文庫
女房たちが出て来て格子などを閉めたあとで、「このお敷き物の移り香の結構ですこと、どうしてあの方はこんなにすべてのよいものを備えておいでになるのでしょう。
— 薄雲 『源氏物語』 青空文庫
四 それから、演奏が終ってしまうまで、信一郎は、ピアノの快い旋律と、瑠璃子夫人の残して行った魅惑的な移り香との中に、恍惚として夢のような時間を過してしまった。
— 菊池寛 『真珠夫人』 青空文庫
病人の身は――さあれ氣ぶかき『靜寂』の、―― 罌粟はこぼれぬ、――玉ゆらの吐息にしみし移り香は、 えこそ忘れね。
— 薄田泣菫 『泣菫詩抄』 青空文庫
それだのに、持ってきたこの紙には、れっきとした女の移り香が残っているんだ。
— 子持ちすずり 『右門捕物帖』 青空文庫
ぷーんとなやましいはだのにおいが、否、紛れもないおしろいの移り香がするのです。
— 七七の橙 『右門捕物帖』 青空文庫
持ち主のあたしはかくのとおり色香ざかりの若い女でござりますといわぬばかりに、憎いほどにもなまめかしくまっかで、そのうえぷーんといいにおいのおしろいの移り香がするじゃねえかよ。
— 七七の橙 『右門捕物帖』 青空文庫
作例 · 標準
例句