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陽だまり

ひだまり
名詞
1
標準
sunny spot
文例 · 用例
その陽だまりは、山霊に心あって、一封のもみじの音信を投げた、玉章のように見えた。
泉鏡花 小春の狐 青空文庫
私は秋芝の黄味がかった庭の方まで歩いてみて、陽だまりの香ばしい草の上に、草履をぬぎ足袋をとって足の裏をじかにあてたりした。
鷹野つぎ 青空文庫
未だあたりには朝靄の煙りが水のやうに流れてゐる草の中に立つた彼女の姿が――その上着の明るい色彩が、ところ/″\に点々として梢から洩れ落ちてゐる陽だまりの一つのやうに、そして巨大な蝶々のやうに、凝つと羽根を休めてゐた。
牧野信一 ダニューヴの花嫁 青空文庫
(六日)・おのれにこもる木の実うれてくる・木の葉ひかる雲が秋になりきつた・ゆふ闇はたへがたうして蕎麦の花・明日のあてはない松虫鈴虫・ゆふ焼のうつくしくおもふことなく・秋の夜の鐘のいつまでも鳴る・陽だまりを虫がころげる・青空のした播いて芽生えた・たゞに鳴きしきる虫の一ぴき十月七日 曇、――晴。
種田山頭火 其中日記 青空文庫
暖い色の藁で霜よけをされた芭蕉があるきりのまだ淋しい花壇に添うた陽だまりのベンチの一つで、中年の男がインバネスの袖を肩へはね上げてかがみこみ、別に灰がたまっているのでもないのに、頻りと機械的に人さし指をうごかして巻煙草の灰をはたいている。
宮本百合子 道づれ 青空文庫
私も子供のとき利根川畔の雑木林へ早春の虎杖の若芽を採りに行くと崖の下の陽だまりのところに、狸のため糞が山と積んであるのを見た。
佐藤垢石 たぬき汁 青空文庫
川や沼の面に生色ある光がただよって、いつの間にか堤防の陽だまりに霜ぶくれの土を破って芝芽が小さな丸い頭を突き出すと魚も永い冬の蟄居から眼ざめるのである。
佐藤垢石 巣離れの鮒 青空文庫
私の記憶にあるのは、陽だまりに草履や笠を手づくりしている一人の老婆と、ささやかな呉服太物の包みを背負って近村を行商して歩いていた四十先きの女房の姿である。
犬田卯 一老人 青空文庫