温かさ
あたたかさ
名詞
標準
文例 · 用例
恐怖と、恥羞に震う身は、人膚の温かさ、唇の燃ゆるさえ、清く涼しい月の前の母君の有様に、懐しさが劣らずなって、振切りもせず、また猶予う。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
日は水を劃って、その板の上ばかり、たとえば温かさを積重ねた心持にふわふわ当る。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫
湯のまちらしい温かさが、どこにも無い。
— 太宰治 『八十八夜』 青空文庫
からだに、厭な温かさが残って、やりきれない。
— 太宰治 『女生徒』 青空文庫
彼等は、家庭の温かさと、情味とに飢え渇していた。
— 黒島伝治 『渦巻ける烏の群』 青空文庫
いつまでもそれは永続するもので、いつでも同じ温かさを保つてゆかれる愛だ。
— 萩原朔太郎 『月に吠える』 青空文庫
晩春の午後の温かさが、まるで湯の中にでも浸っているように体の存在意識を忘却させて魂だけが宙に浮いているように頼り無く感じさせた。
— 岡本かの子 『晩春』 青空文庫
はいって見れば臭味もそれほどでなく、ちょうど頃合の温かさで、しばらくつかっているとうっとりして頭が空になる。
— 伊藤左千夫 『隣の嫁』 青空文庫