万緑
ばんりょく
名詞
標準
myriad green leaves
文例 · 用例
――大奥付の腰元らしい者は者でしたが、ようよう二十になるやならずの、目ざめるばかりの美形がいち人、突如として正面お座席近くに姿をみせて、文字通り万緑叢中紅一点のあでやかさを添えましたので、いぶかしさに打たれながら主水之介も目を瞠っていると、四人の騎士がさらに奇態でした。
— 後の旗本退屈男 『旗本退屈男 第三話』 青空文庫
夾竹桃の花が美しい、まさに万緑叢中紅一点。
— 昭和十三年 『旅日記』 青空文庫
墨画ども多き画帖の中に彩色のはつきりしたる画を見出したらんは万緑叢中紅一点の趣あり。
— 正岡子規 『病牀六尺』 青空文庫
俗悪な銅像や石像が並んでる中に、万緑叢中紅一点という碑があるのを知らないのか。
— 豊島与志雄 『地水火風空』 青空文庫
広島に帰り母を奉じ京師に入り西遊の行を終り更に母を伴ふて嵐山に遊び奈良芳野の勝を訪ひ侍輿百里度、花落南山万緑新、筍蕨侑杯山館夕、慈顔自有十分春の詩あり、終に送りて広島に還る。
— 山路愛山 『頼襄を論ず』 青空文庫
ゆえに上古の歴史に平民社会を見ればあたかも万緑叢中一点の紅を望むがごとく実に愉快とも珍奇ともいうべけれども、とうてい可憐可悲の歴史たるに過ぎず。
— 徳富蘇峰 『将来の日本』 青空文庫
しかし万緑叢中に点々としてその純白花の咲いている風情はまた多少捨て難い所がないでもなく、これがムラサキの花だと思うと何となく貴く感じ思わずこれを見つむる心にもなる。
— 牧野富太郎 『植物記』 青空文庫
さればその頃初めて十九になったとやらいう小半の姿は正に万緑叢中の紅一点あまり引立ち過ぎて何となく気の毒にも見えまた問わずしてこの女がヨウさんの御世話になっているものと推量されるのであった。
— 永井荷風 『雨瀟瀟』 青空文庫
作例 · 標準
五月の山々は、目に眩しいほどの万緑に包まれていた。
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新緑の季節、公園の木々は万緑を呈している。
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夏の終わりの万緑もまた趣がある。
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