落葉
らくよう
名詞
標準
文例 · 用例
今日は兄夫婦と男とお増とは山へ落葉をはきに行ったとの話である。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
囀鳥軟風のふく日暗鬱な思惟にしづみながらしづかな木立の奧で落葉する路を歩いてゐた。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
母にも父にも兄弟にも遠くはなれて母にも父にも知らない孤兒の心をむすびあはさうありとあらゆる人間の生活の中でおまへと私だけの生活について話しあはうまづしいたよりない二人だけの祕密の生活についてああその言葉は秋の落葉のやうにさうさうとして膝の上にも散つてくるではないか。
— 萩原朔太郎 『蝶を夢む』 青空文庫
さうして鋪道のある街街には、靜かに音もなく、夢のやうな建物が眠つてゐて、秋の巷の落葉のやうに、閑雅な雜集が徘徊してゐる。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
ホールの庭には桐の木が生え、落葉が地面に散らばつて居た。
— 萩原朔太郎 『宿命』 青空文庫
秋の部門を出て故人に逢ひぬ秋の暮 秋風|落寞、門を出れば我れもまた落葉の如く、風に吹かれる人生の漂泊者に過ぎない。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
西吹けば東にたまる落葉かな 西から風が吹けば東に落葉がたまるのは当り前で、理窟で考えると馬鹿馬鹿しいような俳句であるが、その当り前のことに言外の意味が含まれ、如何にも力なく風に吹かれて、鉋屑などのように転ってる侘しい落葉を表象させる。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
落葉が先づ熱を發散し出したのだ。
— 有島武郎 『春』 青空文庫