偽筆
ぎひつ
名詞
標準
forged handwriting
文例 · 用例
それにしても、おみよの書置が偽筆でない以上、かれが自殺を企てたのは事実である。
— 帯取りの池 『半七捕物帳』 青空文庫
マゴマゴしているうちに粕を絞らせられるような事になっては堪らぬと気が付いたので、すぐに一通の偽筆、匿名の手紙を書いて、面会の時日を東都日報、中央夕刊の二つに広告しろと云ってやったら、その翌る朝、まだアパートで寝ているうちに、東都日報から……という電話がかかった。
— 夢野久作 『けむりを吐かぬ煙突』 青空文庫
おッ母さんから一筆青木に当てた依頼状さえあれば、あすにも楽な身になれるというので、僕は思いも寄らない偽筆を頼まれた。
— 岩野泡鳴 『耽溺』 青空文庫
一方にはそんなしおらしいことを言って、また一方では偽筆を書く、僕のその時の矛盾は――あとから見れば――はなはだしいもので、もう、ほとんど全く目が暗んでいたのだろう。
— 岩野泡鳴 『耽溺』 青空文庫
「………」さきの偽筆は自分のために利益と見えたことだが、今のは自分の不利益になる事件が含んでいる代筆だ。
— 岩野泡鳴 『耽溺』 青空文庫
心きいた女ならば、偽筆ということ看破しないともかぎらないからな。
— 達磨を好く遊女 『右門捕物帖』 青空文庫
“苧環をくりかけてあり梅の宿”“何処やらに鶴の声きく霞かな”“駒ヶ嶽に日和さだめて稲の花”井月の偽筆!
— 昭和十四年 『旅日記』 青空文庫
本の背中の文字は野枝子に偽筆を頼む。
— 大杉栄 『獄中消息』 青空文庫