切れ端
きれはし
名詞頻度ランク #36116 · 青空 111 例
標準
fragment
文例 · 用例
工場が殖え、会社の社宅が建ち並んだが、むかしの鐘ヶ|淵や、綾瀬の面かげは石炭殻の地面の間に、ほんの切れ端になってところどころに残っていた。
— 岡本かの子 『老妓抄』 青空文庫
現実というものは、切れ端は与えるが、全部はいつも眼の前にちらつかせて次々と人間を釣って行くものではなかろうか。
— 岡本かの子 『老妓抄』 青空文庫
「折角の学問の才を切れ端にして使い散らさないように――」 と始終忠告していた父が、その実意からしても死ぬ少し前、主人を養子に引取って永年苦心の蒐集品と、助手の私を主人に譲ったのは道理である。
— 岡本かの子 『東海道五十三次』 青空文庫
で、紳士たる以上はせめてムダ金の拾万両も棄てて、小町の真筆のあなめあなめの歌、孔子様の讃が金で書いてある顔回の瓢、耶蘇の血が染みている十字架の切れ端などというものを買込んで、どんなものだいと反身になるのもマンザラ悪くはあるまいかも知らぬ。
— 幸田露伴 『骨董』 青空文庫
小屋のすぐ前に屋台店のようなものが出来ていて、それによごれた叺を並べ、馬の餌にするような芋の切れ端しや、砂埃に色の変った駄菓子が少しばかり、ビール罎の口のとれたのに夏菊などさしたのが一方に立ててある。
— 寺田寅彦 『嵐』 青空文庫
ビール罎の花も芋の切れ端も散乱して熊さんの蒲団は濡れしおたれている。
— 寺田寅彦 『嵐』 青空文庫
勃凸は耳もかさずに蟆口をひねり開けて、半紙の切れ端に包んだ小さなものを取り出した。
— 有島武郎 『骨』 青空文庫
工場が殖え、会社の社宅が建ち並んだが、むかしの鐘ヶ淵や、綾瀬の面かげは石炭殻の地面の間に、ほんの切れ端になってところどころに残っていた。
— 岡本かの子 『老妓抄』 青空文庫