気を失う
きをうしなう
表現動詞-五段-ウ行
標準
to lose consciousness
文例 · 用例
市ヶ谷見附の市電の停留場にたどりついたときは、ほとんど呼吸ができないくらいに、からだが苦しく眼の先がもやもや暗くて、きっとあれは気を失う一歩手前の状態だったのでございましょう。
— 太宰治 『誰も知らぬ』 青空文庫
ぶたれて、切られて、または、くすぐられても、その苦しさが極限に達したとき、人は、きっと気を失うにちがいない。
— 太宰治 『皮膚と心』 青空文庫
すると、もう紀代子に会う勇気を失うのだった。
— 織田作之助 『青春の逆説』 青空文庫
……いよいよ蚊帳を覗くとなると、余りの事に、それがこの病気の峠で、どんな風に、ひきつけるか、気を失うか、倒れるかも分らない。
— 泉鏡花 『甲乙』 青空文庫
東京大学が東京教育大学(あの気味の悪い筑波大学が正気を失う前の姿だ)と共に入試の中止に追い込まれた一九六九年から、ちょうど十年が過ぎたころのことだ。
— 富田倫生 『青空のリスタート』 青空文庫
私のような者でも、もう少し人生というもののわかる年ごろまでついていてあげたかったのです」 こう言ったあとで、そのまま気を失うのではないかと思われるほど御息所は泣き続けた。
— 澪標 『源氏物語』 青空文庫
そうして、湯風呂の前に進み寄った一刹那に、二つの首は突然消えてしまったので、彼女は気を失う程におどろいて倒れた。
— 岡本綺堂 『五色蟹』 青空文庫
いわんやそれを読んだ人が不幸にして、小説家であった場合には、どんなに身の程を知らぬ人が、どれ程きびしい督促を受けている場合にでも、二日や三日はペンをとる勇気を失うだろうと思う。
— 平林初之輔 『探偵小説壇の諸傾向』 青空文庫