湛える
たたえる
動詞-一段動詞-他動詞頻度ランク #34338 · 青空 1099 例
標準
to fill (with)
文例 · 用例
間もなく私はまっ白な石英の砂とその向うに音なく湛えるほんとうの水とを見ました。
— 宮沢賢治 『インドラ[※1]の網』 青空文庫
さっと一汐、田越川へ上げて来ると、じゅうと水が染みて、その破れ目にぶつぶつ泡立って、やがて、満々と水を湛える。
— 泉鏡花 『海の使者』 青空文庫
ただ往時の感情の遺した余影が太郎坊の湛える酒の上に時々浮ぶというばかりだ。
— 幸田露伴 『太郎坊』 青空文庫
一夜の縁のみならず、そこは、自分とあの人とがために浮名を流した、浜田の水の源ぞと聞くからに、顔を知らぬ許婚に初めて逢いに行く気もすれば、神仙の園へ招待されたようでもあって、いざ、立出づる門口から、早や天の一方に、蒼沼の名にし負う、緑の池の水の色、峰続きの松の梢に、髣髴として瑠璃を湛える。
— 泉鏡花 『沼夫人』 青空文庫
既に果実が生じれば、必ずや之を味わう人に幸福を感じさせるのであって、主人|自ら之を味わうにせよ、主人の近親朋友が之を味わうにせよ、又は主人に売却されて或る他の人が之を味わうにせよ、何人かが造物主が人間に贈るところの福恵を享受して、満ち足りた喜びの情を湛えるに違いない。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫
ルネッサンスは、モナ・リザにああいう微笑を湛える人間的自由は与えたが、そのさきの独立人としての婦人の社会的行動は制御していたのであった。
— ――文学にそって―― 『女性の歴史』 青空文庫
そういう情感そのものが、世界史的規模をその底に湛えるものであって、日本の生活の端々をも瑞々しくとらえ深め描き出してゆく、そういう作家が育って行かなければなるまいと思える。
— 宮本百合子 『遠い願い』 青空文庫
歩道は狭く、柳の並木があり、低い手摺の外はじかに掘割であって、満潮の折には水が深々と寂寥を湛える。
— 豊島与志雄 『幻覚記』 青空文庫
作例 · 標準
大雨の後、ダムは並々と水を湛え、今にも溢れ出しそうな勢いだった。
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澄み切った山の湖が、周囲の深い緑をその水面に湛えている。
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古い井戸の底には、今もなお冷たく清らかな水が湛えられていた。
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標準
to express (an emotion)
作例 · 標準
彼女は柔らかな微笑みを湛えながら、迷子になった子供に優しく語りかけた。
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試合に負けた悔しさを目に湛えつつ、彼は潔く勝者に握手を求めた。
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祖父の顔には、長年の苦労を乗り越えてきた者だけが持つ慈愛が湛えられていた。
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