肝胆
かんたん
名詞
標準
the liver and gall bladder
文例 · 用例
傍で飲んでいたサラリーマン風の男と非常な親友になって、スッカリ肝胆照してしまった。
— 夢野久作 『呑仙士』 青空文庫
その弱り目に翌年|逢つた店の火事、次の一年間は何とか店を立て直さうとさまざまに肝胆を砕いてみたが駄目だつた。
— 岡本かの子 『上田秋成の晩年』 青空文庫
十七、老後の財宝所領に心掛けるどころか、目前の日々の暮しに肝胆を砕いている有様で苦笑の他は無いが、けれども、老後あるいは私の死後、家族の困らぬ程度の財産は、あったほうがよいとひそかに思っている。
— 太宰治 『花吹雪』 青空文庫
打たずんば交りをなさずと云って、瞋拳毒手の殴り合までやってから真の朋友になるのもあるが、一見して交を結んで肝胆相照らすのもある。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
このような科学者と芸術家とが相会うて肝胆相照らすべき機会があったら、二人はおそらく会心の握手をかわすに躊躇しないであろう。
— 寺田寅彦 『科学者と芸術家』 青空文庫
采女という邪魔外道をなんとか片付けてしまわなければ、姫と山名との縁談がなめらかに進行しないのは判り切っているので、彼はこの間からいろいろに肝胆を砕いた末にきょうはいよいよ二人の秘密を師冬の前に暴露したのであった。
— 岡本綺堂 『小坂部姫』 青空文庫
君、今度は十分肝胆を披瀝して話して見給え、」と俄に紅葉の弁護を做初した。
— ――尾崎紅葉―― 『硯友社の勃興と道程』 青空文庫
思想上の話もしたし、社会主義の話もしたが、肝胆相照らしたというわけでもないから多くは文壇や世間の噂ばなしだった。
— 内田魯庵 『最後の大杉』 青空文庫
作例 · 標準
長年の沈黙を破り、かつての戦友たちが再会して肝胆相照らす様子は、周囲の人間にも深い信頼関係の尊さを感じさせた。
彼は不治の病に苦しむ患者たちのために、新たな治療法の開発に肝胆を砕く日々を送っている。
突如として発表された大規模なリストラ計画は、会社に忠誠を誓ってきた社員たちの肝胆を寒からしめるに十分な衝撃であった。
自身の過ちを深く悔いた彼は、被害者の遺族を前にして、隠していた真実をすべて肝胆を吐露するように語り始めた。