取り残し
とりのこし
名詞
標準
leaving behind
文例 · 用例
すると得意になって肩肘張り、なおも世に高名を求めようとする側の自分は取り残して行く未解決の側の自分を努めて忘れ去ろうとし、また未解決の側の重苦しい自分は忘れられて置き去りになるまいと、藻掻き、しきりに真面目で憐れな自分を見せつけ見せつけ縋りつくのである。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫
千代重が入り込んだ踏花園は、旧幕時代評判の下屋敷の庭を、周囲の住宅の侵蝕から、やっと一角だけ取り残したという面影を留めている園芸場で、西南の市外にあった。
— 岡本かの子 『唇草』 青空文庫
もし、いうと、倭文子を男性と同じ家に一人取り残して来たことを、叱られるにきまっているからである。
— 菊池寛 『第二の接吻』 青空文庫
たつた一つ物置の隅に思案にあまつて取り残して置いた父親のトランクを、彼はもう一度錠を下し直した。
— 牧野信一 『裸虫抄』 青空文庫
取り残した芋の葉に雨は終日|降頻って、八百屋の店には松茸が並べられた。
— 田山花袋 『蒲団』 青空文庫
そこには去年の秋形がいびつだからといつて、たつた一つ取り残しておいた小さな瓠が、引き拗られたままの蔓と一緒に棚にしがみついてゐて、折柄の風にその不相応に大きな尻を振つてゐるのだつた。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
田舎から取って来た金も、会社の跡始末に消えてしまって、この家へ引き移って来た時も、かけてあった取り残しの無尽を安く競って落したくらいであったので、病気になってからも思うような保養も出来なかった。
— 徳田秋声 『足迹』 青空文庫
しかし私は取り残してある「建徳江に宿す」の詩が、十九首の中で一番好きである。
— 河上肇 『閑人詩話』 青空文庫
作例 · 標準
「掃除機をかけた後でも、部屋の隅に小さなゴミの取り残しがあった。」
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「検品作業で不良品の取り残しがないよう、ダブルチェックを徹底する。」
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「稲刈りの後の田んぼには、機械で刈れなかった稲の取り残しが目立つ。」
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