近辺
きんぺん
名詞頻度ランク #9021 · 青空 396 例
標準
neighbourhood
文例 · 用例
近辺の寺々いずこも参詣人多く花屋の店頭黄なる赤き菊|蝦夷菊堆し。
— 寺田寅彦 『半日ある記』 青空文庫
刈り株ばかりの冬田の中を紅もめんやうこんもめんで頬かぶりをした若い衆が酒の勢いで縦横に駆け回るのはなかなか威勢がいい、近辺のスパルタ人種の子供らはめいめいに小さな凧を揚げてそれを大凧の尾にからみつかせ、その断片を掠奪しようと争うのである。
— 寺田寅彦 『田園雑感』 青空文庫
日曜に村の煮売屋などの二階から、大勢兵隊が赤い顔を出して、近辺の娘でも下を通りかかると、好的好的などと冷かしたり、グズグズに酔って二、三人も手を引き合うて狭い田舎道を傍若無人に歩いたりするのが、非常に不愉快な感じを起させた。
— 寺田寅彦 『枯菊の影』 青空文庫
そして谷底まで下りた人の多数はそのままに麓の平野を分けて行くだろうし、少数の人はそこからまた新しい上り坂に取りつきあるいはさらに失脚して再び攀上る見込のない深坑に落ちるのであろうが、そのような岐れ路がやはりほぼ四十余歳の厄年近辺に在るのではあるまいか。
— 寺田寅彦 『厄年と etc.』 青空文庫
銀河の近辺までも同様であろうか。
— 寺田寅彦 『方則について』 青空文庫
これはどういうわけかというと、砂粒が自然のままに落ち着いている時は、粒の間の空隙がなるたけ少ないようになっているが、足で踏んだりすると、その周囲の所は少し無理がいって空隙が多くなり、近辺の水を吸い込むからです。
— 寺田寅彦 『夏の小半日』 青空文庫
(九) パピプペポの音は、奈良朝においては多分正常な音韻としては存在しなかったであろう、しかるに、漢語においては、入声音またはンにつづくハ行音はパピプペポの音であったものと思われる(「一遍」「匹夫」「法被」「近辺」など)。
— 橋本進吉 『国語音韻の変遷』 青空文庫
百分の一近辺のものは猩々、鹿、猫など、それから下って百分の一より千分の一の間にあるのが麒麟、象、羚羊、獅子、袋鼠、鷲、白鳥、雉、鼠、蛙、鯉など、なお一層下って千分の一より一万分の一の間には海馬、鯨、鰐、海鰻、章魚などがひかえている。
— 寺田寅彦 『話の種』 青空文庫