口車
くちぐるま
名詞
標準
cajolery
文例 · 用例
熊さんが、どこへ持って行っても相手にしない、山根の、松林のかげで日当りの悪い痩地を、うまげにすゝめてくると、また、口車にのって、そんな土地まで、買ってしまった。
— 黒島傳治 『浮動する地価』 青空文庫
今度はきっと清算するから、手切れがいるとか、今度は官庁の仕事を請け負い、大儲けをするから、利子は少し高くてもいいとか、松島の口車に載せられ、男への愛着の絆に引かされ、預金を引き出し引き出ししたのだった。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
」 師匠も銀子の口車に乗り、やがて大弓場を処分して、藤本へ入って来たのだったが、入れてみると、ちぐはぐの親父と、銀子の所思どおりに行かず、師匠の立場も香しいものではなかった。
— 徳田秋声 『縮図』 青空文庫
「丸官はんに、柿の核吹かけられたり、口車に綱つけて廊下を引摺廻されたり、羅宇のポッキリ折れたまで、そないに打擲されやして、死身になって堪えなはったも、誰にした辛抱でもない、皆、美津さんのためやろな。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫
君のことを尋ねに出向くとひどく機嫌を悪くして、君を口車に乗せて業務やら何やらから離すのかと文句を。
— THE STOCK-BROKER'S CLERK 『株式仲買人』 青空文庫
こいつの口車に乗せられて、オレは「パソコン創世記」という本を書き、旺文社文庫から出してもらった。
— 富田倫生 『青空のリスタート』 青空文庫
悪く思わないでくれと確かにそういった、その義侠らしい口車にまんまと乗せられて、今まで殊勝な女だとばかり思っていた自分の愚かさはどうだ。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
この場合うっかり葉子の口車には乗られないと愛子は思って沈黙を守っているのかもしれない。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫