筆力
ひつりょく
名詞
標準
strength of the brush stroke
文例 · 用例
まだ書くことはいくらでもあるのであるが、なにさま記臆のない時のことであるから、あんまり書いて筆力の覚束ないところを出してもなるまい。
— ――世の母びと達に捧ぐ―― 『一つの境涯』 青空文庫
前者は纎細簡潔、冗漫や無駄を嫌つて一字一字を惜みながらコツコツと筆を運んだが、後者は深刻重厚、筆力のあふれるままにグングン筆を走らせた。
— 南部修太郎 『氣質と文章』 青空文庫
筆力は垂死の病人とは思えぬ程慥である。
— 夏目漱石 『『我輩は猫である』中篇自序』 青空文庫
讀去り讀來つて纖細妙微なる筆力まさしくマクベスを融解したるスープの價はあるべし。
— 北村透谷 『罪と罰(内田不知庵譯)』 青空文庫
司馬遷個人としては、父の遺嘱による感激が学殖・観察眼・筆力の充実を伴ってようやく渾然たるものを生み出すべく醗酵しかけてきていた。
— 中島敦 『李陵』 青空文庫
……とはいえあの「蟲」の主人公が、女優の屍体を土蔵の中からトウトウ取り出し得ずに、変テコになってヘタバッてしまう迄の極度にあられもない気分の変幻を、あんなに平気で扱い去った筆力の凄まじさには「鬼か人か」と叫びたいくらい、参いらせられてしまいました。
— 夢野久作 『江戸川乱歩氏に対する私の感想』 青空文庫
險しきを行くこと夷なる如き筆力、望み瞻る方嚮に從ひて無遠慮なるまで肢體の尺を縮めたる遠近法は、個々の人物をして躍りて壁面を出でしめんとす。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
筆力が雄健で毫も窘渋の痕が見えないのは右眼の失明が何ら累をなさなかったのであろう。
— 内田魯庵 『八犬伝談余』 青空文庫
作例 · 標準
彼の書には、力強い筆力が感じられる。
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筆力が衰えると、書道の作品も弱々しくなる。
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彼は小説家としての筆力も高く評価されている。
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