描写力
びょうしゃりょく
名詞
標準
power of description
文例 · 用例
絢爛の才能とか、あふれる機智、ゆたかな学殖、直截の描写力とか、いまは普通に言われて、文学を知らぬ人たちからも、安易に信頼されているようでありますが、私は、そんな事よりも、あなたの作品にいよいよ深まる人間の悲しさだけを、一すじに尊敬してまいりました。
— 太宰治 『風の便り』 青空文庫
そういう意味では失敗作だったが、逞しい描写力と奔放なリアリズムの武器を持っている武田さんが、いわゆる戦記小説や外地の体験記のかわりに、淡い味の短篇を書いたことを私は面白いと思った。
— 織田作之助 『四月馬鹿』 青空文庫
私が熱心を以て詳しく話せば話すほど、恐らく私は「|百万のマルコ」と嗤われた昔の東邦旅行者の口惜しさを味わわねばならぬだろうし、また、自分の言葉の描写力が実際の美の十分の一をも伝え得ないことが自ら腹立たしく思われるであろうからでもある。
— ――ミクロネシヤ巡島記抄―― 『環礁』 青空文庫
新進気鋭の作家たちが、視野をひろく求め取材に憂きみをやつすといふのが一種の風潮かも知れぬが、多くの場合に於いて、その観察力乃至は描写力に於いて表面的にのみ流れ、これは特に藤沢氏のみを指すわけではないが、多作多難に容易に打ち克つことは敵はぬのではなからうか。
— 牧野信一 『浪曼的月評』 青空文庫
◯九章において神の宇宙創造及び支配を述べて高遠なる想像を筆に上せたる彼は、ここに繊細微妙なる造化の一面にその豊かなる描写力を向けたのである。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
藤田復生氏――『気象台』明析な態度、色の新しさの方向はいゝが、立体感の欠けてゐる点が難、テーマは甚だ立体的だが、描写力が併はなかつたのだと思ふ。
— 美術論・画論 『小熊秀雄全集−19−』 青空文庫
小野頴山氏『硫黄採る山』描写力をもつた作家である。
— 美術論・画論 『小熊秀雄全集−19−』 青空文庫
もしそれにも拘らず絵筆のタッチと文章の描写力とが全然無関係な過程であるという理由から、夫々の技術的批評も亦お互いに無関係でなければならぬと云うならば、結局絵画は画家によってしか批評出来ず、小説は小説作家によってしか批評出来ないという処まで行くほかない。
— 戸坂潤 『クリティシズムと認識論との関係』 青空文庫
作例 · 標準
彼女の圧倒的な描写力によって、読者はまるで見知らぬ異国の街を歩いているような感覚に陥る。
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「君の絵はテクニックもすごいけど、何より光の描写力がずば抜けているね」
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この古典作品が今も愛されているのは、登場人物たちの心の機微を捉える卓越した描写力ゆえだ。
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