初冬
しょとう異読 はつふゆ
副詞名詞
標準
early winter
文例 · 用例
眩しくなった眼を室内へ移して鴨居を見ると、ここにも初冬の「森の絵」の額が薄ら寒く懸っている。
— 寺田寅彦 『森の絵』 青空文庫
雲は東から西へと引いたように取れると一天は石灰洞のような大口を開けて、見る見るうちに次第にひろがり、碧い初冬の冴え返った空が、冷たい鯖色をした湖水のようになって、金光ちらりと黒砂に燃え落ちる、黒砂の一線、天に向って走るところ、頂上火口の赭禿げた土は、火を翳したように眩ゆくなる。
— 小島烏水 『雪中富士登山記』 青空文庫
初冬の山と幾分か軽く視て、雪中の登山服装というほどの準備もしていなかったため、幾重の衣も徹されて、腹から股にかけ、薊で撫で廻されるような疼痛を感じ初めた、唇はピリッとして、亀裂するかと惑われ、その寒さにわなわなと骨髄から震動した。
— 小島烏水 『雪中富士登山記』 青空文庫
季節は初冬に入っていた。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
初冬の風が吹いて満山の木が鳴った。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
鎌倉へ移る少し前、初冬の風のうす寒い日に、僕等二人は連れだつて活動寫眞を見に行つた。
— 萩原朔太郎 『田端に居た頃』 青空文庫
初冬といっても彼らの活動は空に織るようである。
— 梶井基次郎 『冬の蠅』 青空文庫
そして初冬の時雨はもう霰となって軒をはしった。
— 梶井基次郎 『冬の日』 青空文庫
標準
tenth month of the lunar calendar