槍先
やりさき
名詞
標準
spearhead
文例 · 用例
絶壁の下なる大深谷からは、霧がすさまじいいきおいで、皺嗄れ声を振り立てて上って来る、近づくほど早くなるかと思うと、端から砕けてサアッと水球を浴びせる、そうして呻りながら、尾根につかまり、槍先へ這いずり上って、犠牲になる生霊もがなと、捜し廻っている。
— 小島烏水 『槍ヶ岳第三回登山』 青空文庫
佐野の私の首を抱いた腕がだんだん冷たくなるような気がしながら、眼前を尖光のように流れる闘牛士の槍先が牛の骨に数本の尖創を作って、巨大な口から粘った血液がどろどろと流れるのを、瞬きもしないで見詰めていたのです。
— 吉行エイスケ 『バルザックの寝巻姿』 青空文庫
しかる処へ、奥方連のお乗込みは、これは学問修業より、槍先の功名、と称えて可い、とこう云うてな。
— ――其一幕―― 『錦染滝白糸』 青空文庫
修理大音あげて、「上方勢は鉄砲なくしては合戦が出来ないのか、柵を離れて武田の槍先受ける勇気がないのか、汚いぞ」と呼った。
— 菊池寛 『長篠合戦』 青空文庫
佐久間勝政も、飯之浦で福島市松、片桐助作、平野権平、脇坂甚内等の勇士が槍先を並べてかかるのを、兵四人までを切落して戦ったが、遂に斬死した。
— 菊池寛 『賤ヶ岳合戦』 青空文庫
前項に引いた、英国の『ジョー・ミラー滑稽集』にいわく、行軍中の軍曹に犬が大口開いて飛びかかると、やにわに槍先を喉に突き通して殺した。
— 犬に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
葉子はいらいらしながらもそれを顔には見せないで今度は愛子のほうに槍先を向けた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
が、主君の激しい槍先にたちまちに突き竦められて平伏してしまう。
— 菊池寛 『忠直卿行状記』 青空文庫