肌骨
きこつ
名詞
標準
skin and bones
文例 · 用例
特に隣国の謙信には、信をもって汝らの倚託をうけて、裏切るような謙信でない」 そう遺言して、また、筆を乞うて、大底他ノ肌骨ニ還ル紅粉ヲ塗ラズ自ラ風流 と、最期の一|偈をふるえる手に書き終るとともに息をひきとったという。
— 吉川英治 『上杉謙信』 青空文庫
が、まだその内に居殘つてゐた者たちは、ときどきこつそりと、部屋の中央にある、大きな、薄暗い塊りへ眼をそそぎながら、それが單に腐敗物の上に被せられてゐる大きな衣類に過ぎないことを望んでゐた。
— ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 『「マルテ・ロオリッツ・ブリッゲの手記」から』 青空文庫
わしあ、そげん卑俗きこつ知らん。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
たくじやうぎんぎよのめよりをんなのへそをめがけてふきいづるふんすゐひとこそしらねてんにしてひかるはなさきぎんぎよのめあかきこつぷををどらしめ。
— 山村暮鳥 『聖三稜玻璃』 青空文庫
自分はそこまでわざと男の後になつてそれとなく尾行して行くと男はあつちへよろめきこつちへよろけつゝ約一丁ばかり歩いたが、そこの見すぼらしい居酒屋の障子を見ると立止まつた。
— 村山槐多 『殺人行者』 青空文庫
しかしそのときこつちでは盛んに喋る同僚の顏を不圖見て、急に駭く。
— 海野十三 『恐怖について』 青空文庫
仄暗いうちに起きて家人の眼をかくれ井戸端でお米を磨いだりして、眠りの邪魔をされる悪口ならまだしも、私が僻んで便所に下りることも気兼ねして、醤油壜に小便を溜めて置きこつそり捨てることなど嗅ぎ知つて、押入を調べはすまいかを懸念した。
— 嘉村礒多 『途上』 青空文庫
現在ならば何事も「しかしそんなこと自由ぢやないか」と一言取り澄ましてセリフをいへばそれきりだらうが、昔だとこれが「不義者みつけたア」といふ喚きになつて、その証拠の一通があつちに行きこつちに渡り、それだけで全通し何幕といふ大狂言が出来上つたりしたものである。
— 高田保 『恋文』 青空文庫
作例 · 標準
真冬の海から吹き付ける冷たい風が肌骨に徹し、思わず肩をすぼめて家路を急いだ。
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恩師から贈られた言葉には一分の嘘もなく、その真摯な想いが肌骨に染み渡るような深い感動を覚えた。
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その凄惨な事故現場の光景は、現場に立ち会った者たちの肌骨を震わせるほど、圧倒的な恐怖を放っていた。
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