謎めいた
なぞめいた
形容詞-語幹
標準
enigmatic
文例 · 用例
ともよは、初めは少し窮屈な客と思っていただけだったが、だんだんこの客の謎めいた眼の遣り処を見慣れると、お茶を運んで行ったときから鮨を喰い終るまで、よそばかり眺めていて、一度もその眼を自分の方に振向けないときは、物足りなく思うようになった。
— 岡本かの子 『鮨』 青空文庫
頭の日付は「一八六九年三月」、その下に次の謎めいた覚書があった。
— THE FIVE ORANGE PIPS 『橙の種五粒』 青空文庫
「たいへん……謎めいた仕事だな。
— THE RED-HEADED LEAGUE 『赤毛連盟』 青空文庫
別れにのぞんで、ジナイーダはぎゅっとわたしの手を握りしめ、またもや謎めいた微笑を浮べた。
— ツルゲーネフ 『はつ恋』 青空文庫
その唇は相変らず謎めいた微笑を浮べ、眼は少し横合いから物問いたげに、考え深そうに、優しげにわたしを見まもっていた……あの別れた瞬間とそっくりそのままの眼差しだった。
— ツルゲーネフ 『はつ恋』 青空文庫
つまり、赤ん坊ははじめて発声するという謎めいた瞬間に何を考えていたか、この疑問に答えられるほど成長した暁には、そんなことなどすっかり忘れ去っているものなのだ、と。
— THE DREAM OF A SUMMER DAY 『夏の日の夢』 青空文庫
」 とこう云い捨てて浴室へ這入った真紀子の言葉が、突然謎めいた色となって久慈に響き戻って来るのを、「何をッ。
— 横光利一 『旅愁』 青空文庫
それからまた百姓家のなかの粗末な、みすぼらしい品々の間に、言語を絶した、限界のない、何か謎めいた恍惚の源になり得るやうなものを自分の目が搜してゐるのだといふことを……。
— 堀辰雄 『春日遲々』 青空文庫