口語文
こうごぶん
名詞
標準
colloquial writing
文例 · 用例
近き文壇に於ける我が小説の低落は、彼等がその芸術的に訓練されない猥雑の口語文を以てした為に、外国文学に見る如き高貴な詩人的の心を失い、江戸文学の続篇たる野卑俗調の戯作に甘んじ、一歩もそれから出ることができなかったのだ。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
私は志賀直哉の新しさも、その禀質も、小説の気品を美術品の如く観賞し得る高さにまで引きあげた努力も、口語文で成し得る簡潔な文章の一つの見本として、素人にも文章勉強の便宜を与えた文才も、大いに認める。
— 織田作之助 『可能性の文学』 青空文庫
日本で文学の仕事に従った人が同時に時の権力の精神的、文化的指導者であったのは、極めて短い開化期の文化建設の時期に於てのみであって、明治文学が口語文の様式を堅めた頃は、既に文学者の生活は直接な政治経済の網目の中からは外へ押し出されてしまっていた。
— 宮本百合子 『今日の文学の鳥瞰図』 青空文庫
硯友社の文学はその頃でも「洋装をした元禄小説」と評されていたのだが、そういう戯文的小説のなかへ、二葉亭四迷はロシア文学の影響もあって非常に進歩した心理描写の小説「浮雲」を、当時は珍しい口語文で書いたのであった。
— ――二葉亭四迷の悲劇にもふれて―― 『生活者としての成長』 青空文庫
一葉が口語文でかかなかったことを遺憾とする学者もあるだろうけれども、一葉の心情の肉体的曲線そのものが、その一つ前時代の雅俗折衷にあったので、例えば口語体でかかれているただ一つの短篇「この子」をみても、それは考えられると思う。
— 宮本百合子 『婦人と文学』 青空文庫
その口語文の表現はいかにも自由で漢語の熟語や形容詞にちっともわずらわされず、親密な日常の活々とした表情で駆使されていることは、森鴎外の妹として、明治二十年代の初頭から、訳詩の上に活動した小金井喜美子の名とともに翻訳文学の歴史からも十分評価されるべきことであると思う。
— 宮本百合子 『婦人と文学』 青空文庫
僕は十年来口語文を作り、一日十枚を越えたることは(一枚二十行二十字詰め)僅かに二三度を数ふるのみ。
— 芥川龍之介 『病中雑記』 青空文庫
六 僕等の散文 佐藤春夫氏の説によれば、僕等の散文は口語文であるから、しやべるやうに書けと云ふことである。
— 芥川龍之介 『文芸的な、余りに文芸的な』 青空文庫
作例 · 標準
平安時代の『枕草子』も、現代の目で見ると、意外と口語文に近い部分がある。
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彼は、退屈な専門書よりも、生き生きとした口語文で書かれた小説を読むのが好きだ。
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この朗読CDでは、古典文学を親しみやすい口語文で再構成して上演している。
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