風呂桶
ふろおけ
名詞
標準
bathtub (esp. wooden and bucket-shaped)
文例 · 用例
もちろんこれは湯沸しの装置がうまく出来ているから、そういう温度の調節が誰にでも容易に出来るのであって、われわれの家の原始的な風呂桶などとは訳がちがうことは確かである。
— 寺田寅彦 『家庭の人へ』 青空文庫
チャムバーレンという人が云った皮肉な詞に「日本人に独自なものは風呂桶とポエトリーだけだ」というのがある。
— 寺田寅彦 『家庭の人へ』 青空文庫
夜はまた猫が来るといけないからというので網の代わりに古い風呂桶のふたをかぶせておいた。
— 寺田寅彦 『藤棚の陰から』 青空文庫
この論文の始めの序説中、日本人の独創能力に乏しい事を述べた一節に、チャンバレーン博士の言ったという言葉を引いて、「この邦土で純粋に日本固有というべきものはただ二つ、それは風呂桶とそうしてポエトリーである」と述べている。
— 寺田寅彦 『連句雑俎』 青空文庫
何処も彼処もぴかぴかと黒く光るなかへこればかりは新らしく容れられた縁の部厚な椹の風呂桶の生々しい肌の色が、白くほっかりと浮んで見えた。
— 岡本かの子 『かやの生立』 青空文庫
「そりゃあ、お嬢様あ、磨かなきあなんねえものよ」 婆やは斯う答え乍ら、洗い立てたかやの体を、磨き済ました球の様に大切相に抱いて、もやもやと湯気の立つ風呂桶のなかへ這入った。
— 岡本かの子 『かやの生立』 青空文庫
なんでも上野駅あたりの構内らしかったが、僕は四方を汽車に取りかこまれながら、風呂桶のお湯にひたって、きょろきょろしていた。
— 太宰治 『正義と微笑』 青空文庫
全裸で、悶えの指揮の形のまま、僕は風呂桶の中に立っているのだ。
— 太宰治 『正義と微笑』 青空文庫
標準
small bucket used while bathing