黒み
くろみ
名詞
標準
black tinge
文例 · 用例
毎年夏始めに、程近い植物園からこのわたりへかけ、一体の若葉の梢が茂り黒み、情ない空風が遠い街の塵を揚げて森の香の清い此処らまでも吹き込んで来る頃になると、定まったように脳の工合が悪くなる。
— 寺田寅彦 『やもり物語』 青空文庫
ともよの父親である鮨屋の亭主は、ときには仕事場から土間へ降りて来て、黒みがかった押鮨を盛った皿を常連のまん中のテーブルに置く。
— 岡本かの子 『鮨』 青空文庫
そして、艶々しい黒髮も、ふくよかな片頬の肉も、黒み勝ちな瞳も、何時も潤んだその赤い脣も――すべてはお前の姿から忘れられてしまつたやうに思はれた。
— 南部修太郎 『疑惑』 青空文庫
雨にぬれた弁天島という島や、黒みかゝった海や、去年の暴風にこわれた波止場や、そこに一艘つないである和船や、発動機船会社の貯油倉庫を私は、窓からいつまでもあきずに眺めたりする。
— 黒島傳治 『海賊と遍路』 青空文庫
日本人のようでない、皮膚の色が少し黒みがかった男が不熱心に道具を運んで来て、時どきじろじろと観客の方を見た。
— 梶井基次郎 『城のある町にて』 青空文庫
まだ新しくて青き光失せぬ建仁寺籬折りまはしたる小さき坪の中に咲き出でたる、あるはまたよろづ黒みわたりたる古き大寺の書院の椽近く※ひこぼるゝなど、云ひがたき佳きおもむきあり。
— 幸田露伴 『花のいろ/\』 青空文庫
麓の里のやや黒み行く夕暮に、安房なる鋸山の峻しきあたり、「きんだい」といへるが咲きて立ちたる、またなく気高し。
— 幸田露伴 『花のいろ/\』 青空文庫
夕立雨の今や来たらんといふやうなる時、天の半を一面に蔽ひて、十万の大兵野を占めたる如く動かすべくもあらぬさまに黒みわたり、しかも其中に風を含みたりと覚しく、今や動ぎ出さんとする風情、まことに一敗の後の将卒必死を期してこと/″\く静まりかへつたるが中に勃々として抑ふべからざる殺気を含めるが如し。
— 幸田露伴 『雲のいろ/\』 青空文庫
作例 · 標準
この絵は全体的に黒みがかかっていて、重厚な雰囲気だ。
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深煎りコーヒーは、独特の黒みと苦味が魅力だ。
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夕焼け空には、まだ少し黒みが残っていた。
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標準
black part
作例 · 標準
写真の調整で、暗い部分の黒みを少し持ち上げた。
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この石炭は、純度が高く、深い黒みがある。
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彼女の瞳には、夜空のような深い黒みがあった。
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