近火
きんか異読 ちかび
名詞
標準
fire in the neighborhood
文例 · 用例
豫て禪機を得た居士だと言ふが、悟を開いても迷つても、南が吹いて近火では堪らない。
— 泉鏡太郎 『間引菜』 青空文庫
行通はしないでも、居処が分らんじゃ、近火はどうする!
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
その巾着は、私が東京へ行っていた時分に、故郷の家が近火に焼けた時、その百人一首も一所に焼けたよ。
— 泉鏡花 『縁結び』 青空文庫
胸の鼓動が近火を報ずる鐘のやうに、乱打された。
— 牧野信一 『素書』 青空文庫
近火の場合には武家も町家も豪家になると、大提灯または高張りを家前なり、軒下に掲げ、目じるしとして人々の便を計りました。
— その頃の消防夫のことなど 『幕末維新懐古談』 青空文庫
近火の摺りばんを滅多打ちにじゃんじゃんと打ち立てることもある。
— 半鐘の怪 『半七捕物帳』 青空文庫
一度、弟の代筆で寒村の母から、近火を見舞ふ手紙を貰つた。
— 牧野信一 『貧しき日録』 青空文庫
近火見舞の手紙を受け取つた日に彼は、そんな古いことを一寸思ひ出したり、その手紙を書く前の母と弟の会話などを想像したりした。
— 牧野信一 『貧しき日録』 青空文庫