薄笑い
うすわらい
名詞動詞-サ変
標準
faint smile
文例 · 用例
馬場は躊躇せず、その報いられなかった世界的な名手がことさらに平気を装うて薄笑いしながらビイルを舐めているテエブルのすぐ隣りのテエブルに、つかつか歩み寄っていって坐った。
— 太宰治 『ダス・ゲマイネ』 青空文庫
男は苦しく薄笑いしながら、「じゃ、こんな話は止めにしましょう、だがね、お嬢さん、洞の外は、すっかり春でしょう。
— 岡本かの子 『富士』 青空文庫
湊もそういう素振りをされて、却って明るく薄笑いするときもあるが、全然、ともよの姿の見えぬときは物寂しそうに、いつもより一そう、表通りや裏の谷合の景色を深々と眺める。
— 岡本かの子 『鮨』 青空文庫
「まだお前は、どこか、からだ工合がわるいのか」 と伯父の局長に聞かれても薄笑いして、「どこも悪くない。
— 太宰治 『トカトントン』 青空文庫
すべての自然の風景を、理智に依って遮断し、取捨し、いささかも、それに溺れることなく、謂わば「既成概念的」な情緒を、薔薇を、すみれを、虫の声を、風を、にやりと薄笑いして敬遠し、もっぱら、「我は人なり、人間の事とし聞けば、善きも悪しきも他所事とは思われず、そぞろに我が心を躍らしむ。
— 太宰治 『八十八夜』 青空文庫
「ほんとうかね」能面に似た秀麗な検事の顔は、薄笑いしていた。
— 太宰治 『あさましきもの』 青空文庫
すると、傍でそれを聞いていた眉山は、薄笑いして、私は小さい時から、しっかりした階段を昇り降りして育って来ましたから、とむしろ得意そうな顔で言うんですね。
— 太宰治 『眉山』 青空文庫
「ふんとにさ」と、おすめは小さな斜視の眼を、ちょいと見当違いの方へ光らして薄笑いをした。
— 岡本かの子 『かやの生立』 青空文庫