引け目
ひけめ
名詞
標準
sense of inferiority
文例 · 用例
子供なりに僕は、自分の家に、一枚の山も、一段歩の畠も持っていないのを、引け目に感じた。
— 黒島傳治 『浮動する地価』 青空文庫
そうだとするとおれがあんな大学生とでも引け目なしにぱりぱり談した。
— 宮沢賢治 『十六日』 青空文庫
男の子であれば源氏もこうまでこの事実に苦しまなかったであろうが、后の望みを持ってよい女の子にこの引け目をつけておくことが堪えられないように思われて、自分の運はこの一点で完全でないとさえ思った。
— 澪標 『源氏物語』 青空文庫
養母がそんな事なぞを悪くいふのが、おくみには自分の引け目のやうに辛かつた。
— 鈴木三重吉 『桑の実』 青空文庫
……ハテナ……感付いているのかしらん……いないのかしらん…… と考えられるだけでも御主人は著しい引け目を感じられるのでした。
— 夢野久作 『奥様探偵術』 青空文庫
そうして、その引け目を蔽いかくすべく、御主人は色々な技巧を弄されるのでしたが、弄すれば弄するほど技巧が技巧らしく見え透いて来そうになる事を、御主人はオツムがクリヤなだけそれだけクリヤに感じられるのでした。
— 夢野久作 『奥様探偵術』 青空文庫
「だつて、うちで読むとおこられるんだもの――オヤヂと来たら、このごろ厭にあたしを注意深い眼つきで見るんだが、いろんな引け目があつてね、自分からは何も云へないのよ。
— 牧野信一 『早春のひところ』 青空文庫
」 彼は、嘘を塗抹した引け目を感じてゐたところなので、周子から見ると案外朗らかな返事を発した。
— 牧野信一 『父を売る子』 青空文庫