虫の声
むしのこえ
名詞
標準
singing of insects (esp. in autumn)
文例 · 用例
やゝ曇り初めし空に篁の色いよ/\深くして清く静かなる里のさまいとなつかしく、願わくば一度は此処にしばらくの仮りの庵を結んで篁の虫の声|小田の蛙の音にうき世の塵に汚れたる腸すゝがんなど思ううち汽車はいつしか上り坂にかゝりて両側の山迫り来る。
— 寺田寅彦 『東上記』 青空文庫
夜中にふと眼がさめると台所の土間の井戸端で虫の声が恐ろしく高く響いているが、傍には母も父も居ない。
— 寺田寅彦 『追憶の冬夜』 青空文庫
虫の声さへ聞えて居た。
— 太宰治 『地図』 青空文庫
虫の声がその間に交る。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
虫の声 垣根の朝顔やう/\小さく咲きて、昨日今日|葉がくれに一花みゆるも、そのはじめの事おもはれて哀れなるに、松虫すゞ虫いつしか鳴よわりて、朝日まちとりて竈馬の果敢なげに声する、小溝の端、壁の中など有るか無きかの命のほど、老たる人、病める身などにて聞たらば、さこそ比らべられて物がなしからん。
— 樋口一葉 『あきあはせ』 青空文庫
今も松虫の声きけばやがてその折おもひ出られて物がなしきに、籠に飼ふ事は更にも思ひ寄らず、おのづからの野辺に鳴弱りゆくなど、唯その人の別れのやうに思はるゝぞかし。
— 樋口一葉 『あきあはせ』 青空文庫
虫の声が雨の音に変わった。
— 梶井基次郎 『城のある町にて』 青空文庫
すべての自然の風景を、理智に依って遮断し、取捨し、いささかも、それに溺れることなく、謂わば「既成概念的」な情緒を、薔薇を、すみれを、虫の声を、風を、にやりと薄笑いして敬遠し、もっぱら、「我は人なり、人間の事とし聞けば、善きも悪しきも他所事とは思われず、そぞろに我が心を躍らしむ。
— 太宰治 『八十八夜』 青空文庫
作例 · 標準
秋の夜長、窓を開けると美しい虫の声が聞こえてくる。
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子供の頃、よく田んぼで虫の声を聞きながら、星空を眺めていたものだ。
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都会ではなかなか聞けない虫の声に、心が癒やされる。
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