湧き立つ
わきたつ
Godan verb with 'tsu' ending動詞-自動詞
標準
to appear suddenly
文例 · 用例
それは晩春の頃からころころと啼き始めて、やがて湧き立つ様に野をこめる蛙の声が、どんなにめずらしくなつかしく、かやの稚い心をそそる夜も、秋祭りの野太鼓が、しきりに響いて渡る頃であっても、かすか乍らも澄み透って一縷の哀調を運ぶ横笛の音なのであった。
— 岡本かの子 『かやの生立』 青空文庫
嫉と邪とがむらむらと彼の心に湧き立つた。
— 平出修 『夜烏』 青空文庫
その中に私が先に走り込んで掻きまわすと、その光りが五色の鳥だの金銀の魚だのが入り乱れたように散らばって、その上から一面にモウモウと湧き立つ湯気のために、四方を鏡で張り詰めた室の中が薄暗くなってしまった。
— 夢野久作 『鉄鎚』 青空文庫
で、彼が頭を掻きながら無骨な、而も困りきつた樣子で逡巡すればするだけ、四人の心の中には一種の好奇心が湧き立つてくるのです。
— 南部修太郎 『S中尉の話』 青空文庫
三筋ばかり耕やされた土が、勢込んで、むくむくと湧き立つような快活な香を籠めて、しかも寂寞とあるのみで。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
海の音を遠くまた近く聽くと、沖の浪が絶えず湧き立つやうに、自分の疲れた神經も亦若々しく生き返つたからである。
— 發展 『泡鳴五部作』 青空文庫
新子に会っていさえすれば、何ということなしに心豊かに、新しい希望の湧き立つような、喜悦を感じるからだ。
— 菊池寛 『貞操問答』 青空文庫
われは心にいたく驚きて、身内の血の湧き立つを覺えき。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫