物影
ものかげ
名詞
標準
form
文例 · 用例
鏡を、ふたつ對立させると、鏡の中に、また鏡、そのまた奧に、また鏡、無限につらなり、つひにはその最深奧部に於いて、青みどろ、深淵の底の如く、物影がゆらゆら動いてゐる。
— 太宰治 『「人間キリスト記」その他』 青空文庫
たとえば向日葵や松葉牡丹のまだ小さな時分、まいた当人でも見つけるのに骨の折れるような物影にかくれているのでさえ、いつのまにか抜かれているのに驚いた。
— 寺田寅彦 『路傍の草』 青空文庫
正しくそれは人の唸り声だ※ 急ぎその岩を巡ると、広い一室の真中に、一箇の蝋燭が今にも消えんばかりに点って、ほの白く四辺を照らしているその下に、何やら黒い物影が二つ横わっている。
— 押川春浪 『月世界競争探検』 青空文庫
キャバレーの前に佇んでいた三好は、はっと物影へ身をしのばせた。
— 織田作之助 『それでも私は行く』 青空文庫
提灯が物影から飛び出して来た。
— 織田作之助 『秋深き』 青空文庫
うるめる物音、物影。
— 岡本かの子 『朧』 青空文庫
片面鬼三郎生年二十四歳、此処に生命を終るかと観念の眼を閉ぢむとする折しもあれ、和尚の背後、方丈に通ふ明障子の半開きたる間より紫色の美しき物影チラ/\と動けり。
— 夢野久作 『白くれない』 青空文庫
六かくて今この渓谷を旅ゆく人々は 赤く輝く窓より見るなり、調べみだれたる楽の音につれ 大いなる物影の狂い動けるを。
— THE FALL OF HOUSE OF USHER 『アッシャー家の崩壊』 青空文庫
作例 · 標準
暗闇の中に、人影のような物影が見えた気がした。
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木の葉の揺れる物影が、壁に奇妙な模様を描く。
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物影に怯えながら、誰もいない廊下を進んだ。
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