幻辞.com

壁土

かべつち
名詞
1
標準
plaster
文例 · 用例
おおかた葉をふるうた桜の根には取りくずした木材が乱雑に積み上げられて、壁土が白く散らばった上には落葉が乱れている。
寺田寅彦 障子の落書 青空文庫
宅の玄関へはいると妻は箒を持って壁の隅々からこぼれ落ちた壁土を掃除しているところであった。
寺田寅彦 震災日記より 青空文庫
そうして宅へ帰ったら瓦が二、三枚落ちて壁土が少しこぼれていたが、庭の葉鶏頭はおよそ天下に何事もなかったように真紅の葉を紺碧の空の光の下に耀かしていたことであった。
寺田寅彦 烏瓜の花と蛾 青空文庫
我邦でも昔から壁土や土器をかじる子供があるが、他人種でもやはり胃病やヒステリーあるいは悪阻のために土を食いたがる者が往々あるそうである。
寺田寅彦 話の種 青空文庫
思想は書棚を埋める壁土にしか過ぎなかった。
梶井基次郎 冬の日 青空文庫
いつもは、氣をつけて居るのだから、臺所、もの置は荒しても、めつたに疊は踏ませないのに、大地震の一搖れで、家中、穴だらけ、隙間だらけで、我家の二階でさへ、壁土と塵埃と煤と、襖障子の骨だらけな、大きなものを背負つて居るやうな場合だつたから堪らない。
泉鏡太郎 間引菜 青空文庫
大道へ持出して、一杯でもあるまいから、土間へ入つて、框に堆く崩れつんだ壁土の中に、あれを見よ、蕈の生えたやうな瓶から、逃腰で、茶碗で呷つた。
泉鏡太郎 露宿 青空文庫
此の勢に乘つて、私は夢中で駈上つて、懷中電燈の燈を借りて、戸袋の棚から、觀世音の塑像を一體、懷中し、机の下を、壁土の中を探つて、なき父が彫つてくれた、私の眞鍮の迷子札を小さな硯の蓋にはめ込んで、大切にしたのを、幸ひに拾つて、これを袂にした。
泉鏡太郎 露宿 青空文庫
作例 · 標準
職人が竹小舞の下地に、粘土と藁を混ぜて発酵させた壁土を力強く塗りつけていく。
放置された空き家の壁は、経年劣化で漆喰が剥げ落ち、中の茶色い壁土がボロボロと剥き出しになっている。
重要文化財の修復工事では、創建当時と同じ成分の壁土を再現するため、地元の赤土の成分分析から作業が始まった。
地震の激しい揺れによって土蔵の壁土が大きく崩れ落ち、内部の構造である竹組みが露わになった。